第10話 真実はひとつ、これは迷宮遺物だ
「ふふ、俺には分かるぞ。これはあれだな?」
ゲーマーの勘が正しければ、これは恐らく迷宮遺物だ。
迷宮遺物は、ダンジョンで入手できる特殊な効果がついたアイテムのこと。
装備したら攻撃力があがるとか、足が速くなるとか、頭が良くなるとか色々あるらいしい。
なんなら、カッコいいオーラのエフェクトが付くだけの物もあるとか。
「んでこれは多分着けると封じられし力を手に入れるみたいなパターンじゃないか?」
禍々しい眼帯を試しに着けてみる。
……なにも起こらない。
「おかしいな」
絶対何かありそうな見た目してるのに。
まあいい。眼帯は後回しにして、眼鏡をみてみよう。
「ふーむ度なし。伊達メガネか」
見た目は本当にただの質素な黒縁メガネ。
しかも安っぽい材質で出来てそうな軽さ。
「絶対誰か探索者の落とし物じゃん」
オシャレな探索者か、推理できる子供探偵の落とし物にしか思えない。
無傷で壊れてないのが不思議ではあるが。
妙だな……。
「一応これも着けてみるかぁ。もしかしたら俺も推理できるようになるかもなつって」
眼鏡装着。
うん。着けてないみたいに軽い。ただそれだけ。
「えーっと3.141……分からんな」
頭がよくなったわけでもないらしい。
んだこれ。やっぱ落とし物じゃねーか。
期待させやがって。
もう一度眼帯の方を確認するか。
こっちの方が本命だからな。
そう思い眼帯を視界に入れると、
「えっ」
眼帯の上に表記が出ていた。
――――――――――――――――――――――――
【ただの禍々しい眼帯】
何の効果もない、誰かの落とし物のようだ。
――――――――――――――――――――――――
ポップアップウィンドウのようなものが、宙に表示されている。
「なに、えどういうこと」
さっきまでこんなものは出てなかったのに。
意味不明だろ。俺ゲームのやりすぎでおかしくなった?
とそこで思い出す。
「あっそうか、まだ眼鏡着けてたわ」
軽すぎて着けてたのを忘れてた。
「つまりこの伊達メガネ、迷宮遺物だったってことか?」
試しに伊達メガネを着けたり外したりして確認してみる。
すると着けている時だけ、ポップアップウィンドウが表示されている。
「まじでこれ迷宮遺物じゃんか……」
魔石など他の物も伊達メガネを着けた状態で確認してみたが、やはり同じような表示が出てきた。
「すげぇな」
恐らくこの伊達メガネは、レンズを通して見たアイテムの名前とちょっとした説明が確認できる迷宮遺物だ。
まさかの思わぬ収穫。
ドブデッパキショネズミには感謝しかない。
「うん、それはそうと眼帯の方はまじで落とし物かよ」
――――――――――――――――――――――――
【ただの禍々しい眼帯】
何の効果もない、誰かの落とし物のようだ。
――――――――――――――――――――――――
何の効果もないって……見るたびに改めて表示されると鬱陶しくて腹立つな。
――パッ
「あ消えた」
どうやらポップアップウィンドウは、念じたらオンオフの切り替えができるみたい。
これは有り難い。
オフにできなかったら、探索者が多い場所ではウィンドウだらけになって何も見えなくなるもんな。
ウ〇トラライトダウン。暖かくて軽い、ユ〇クロの商品のようだ。
みたいなね。
まぁ、オフにできなくても、外せばいいだけの話ではあるけど。
「っと、ここら辺で帰るか」
ドブデッパキショネズミからドロップした大量の魔石でリュックがかさばってきたので今日の探索は終了。
厳密にはまだ少し余裕があるけど、帰る途中でモンスターに遭遇するかもしれないし、ちょっと余裕を残しておく。
「うへへ、換金が楽しみだなぁ。一体いくらになるかなぁ」
俺は換金がいくらになるかの想像を楽しみつつ、移動する前にステータスカードを取り出し、MPを確認する。
――――――――――――――――――――
椎名凪斗 27歳 Eランク
173センチ 痩せ型
Lv.21
HP 3823/3823
MP 1881/1911
スキル
・透明化 Lv.4 ・危機察知 Lv.1
・昼夜逆転 Lv.8 ・弱点特効 Lv.1
・スライムキラーLv.1
・ネズミキラー Lv.3
――――――――――――――――――――
「MPはまだまだあるな。――てかめっちゃレベルあがってるやん」
ドブデッパキショネズミのおかげで、一気にレベルが上がった。
もうドブデッパキショネズミ大好き。愛してる。
「なんならスキルも増えてんじゃん。1、2、3。え3つも!」
弱点特効にスライムキラー、そしてネズミキラー。
下2つはなんかゲーマー関係なく察しがつくよな……。
多分スライムとネズミに対してのダメージが増すとかそこら辺だろう。
これ沢山殺したから獲得できたんだろうなぁ。
弱点特効は、なんだろう。弱点へのダメージがあがるとかか?
ものは試し。とりあえず常時発動タイプなのかMP消費なのかどうか確認だな。
――スキル【弱点特効】
――――――――――――――――――――
椎名凪斗 27歳 Eランク
173センチ 痩せ型
Lv.21
HP 3823/3823
MP 1831/1911
スキル
・透明化 Lv.4 ・危機察知 Lv.1
・昼夜逆転 Lv.8 ・弱点特効 Lv.1
・スライムキラーLv.1
・ネズミキラー Lv.3
――――――――――――――――――――
「お減ったな」
スキル【弱点特効】はMPを50消費するスキルらしい。
透明化の2倍かー。
てことは結構強いのかな?
まっ、効果とか持続時間は家に帰ってネットで調べるとして(※ダンジョン内ではネットが繋がらない)、お次はスライムキラーとネズミキラーだね。
スライムキラーを念じてみたものの、MPは変動しない。
続けてネズミキラーもやってみたが、同じくMPの数値に変わりはなかった。
「常時発動タイプねー。じゃあ使えるな」
スライムキラーと違い、ネズミキラーの方だけドブデッパキショネズミってフルネームじゃないのが気になるが、そこもネットで調べてみよう。
「ふぅ、それじゃあ帰ろ帰ろ」
その後、俺はとくにモンスターと出会うこともなく、公園に戻って来た。
「換金換金♪」
ウキウキ気分で換金の受付の列に並ぶ。
やがてすぐに順番がきて、俺はニコニコしながら魔石を受付に渡し、その時を待つ。
「――お待たせ致しました。こちらの金額でよろしいでしょうか?」
「はい!」
――――――――――――
換金額 30,128円
――――――――――――
現金を受け取り、スキップで近くのベンチに移動。
「うひょー3万とかアッツ!」
スマホで時間を確認すると、今は22時24分。
探索を始めたのが大体19時過ぎとかだったから、探索3時間で3万円。
時給にすると1万円。
ヤバすぎ最高すぎ。テンション上がる。
「この調子でいけば、探索で飯食うのも夢じゃないな!」
未来に期待を膨らませつつ、俺は家路につく。
道中、足元が軽かったのか歩いて30分の距離を15分足らずで着いた。
そして俺は、帰ってきて気が付く。
高校のジャージを着たままという事に。
「あっ……」
思ってたより興奮してたのか、全然寒くなくて気が付かなった。
なんか、地味に恥ずかしい……。
――――――――――――――――――――――――
余談ですが、禍々しい眼帯は拾って、受付の近くにある落とし物コーナーに預けました。
――――――――――――――――――――――――
あとがき
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