俺たちは勇者じゃない(全12話)

くまべっち

第一回配信『【追放!】役立たずの男たち!』




 食うために生きるのであって、生きるために食うのではない。

 今日も元気に、お腹いっぱい元気いっぱい、ごはんを食べよう!


 みなさんこんにちは! アランと、

 ヴィオラの、二人で送る、クチーナ・アルコバレーノ。

 記念すべき、第一回配信でーっす!


 うー、緊張するね。

 ホントに緊張してる?

 してるよ!

 その割には、お菓子たくさん食べてたよね。

 う。それは、落ち着くために、しかたなく……。

 まあ、いいけどね。そろそろ本題に入りましょう!


 さあ、これから、波瀾万丈、勇気凜々、楽しい物語の始まりだよ。

 序盤はちょっと堅苦しいところもあるかもしれませんが、構える必要はありませんからねー。

 何も気にせず、気軽にお楽しみください!


 昔々、といってもそう遠くない昔、

 遠い遠い、といってもそう遠くない国で、

 この物語の幕は上がるのです。


 この国には、古い予言がありました。

 予言に曰く、

「世界は滅亡する」

 それは、一〇〇○年前に予言された言葉で、「予言者」と呼ばれた人たちが、こぞって同じようなことを話しました。

「空から降ってきた恐怖の魔王により、滅ぼされる」

 ただし、このあたりは、予言者によって、表現がちらほら変わる。「全ての大地が揺れる」、「天と地がひっくり返る」、「巨大な魔王が世界を滅ぼす」、「大地が避けて津波が起きる」、などなどなどなど……いかに予言が適当かが分かるってもんだね。

 さらに、予言は続きます。

「この世界を滅亡から救うのは、勇者。選ばれし勇者」


 この物語は、予言からまるっと一〇〇○年が経った頃のことです。

 まず、みんなに知っておいてほしいのは、三人の登場人物たち。

 一人ずつ紹介していきます!


 最初に紹介するのは、この人です。

 勇者フォルクス。

 精悍な顔立ちに、キリッと結んだ口。何より目を引くのは、うん、ちょっと背が低いかなってことくらい。勇者と言うからには、剣を持ち、魔法を使い、モンスターを退治する。そんな仕事をしているわけです。

 だけど、覚えて欲しいのはこの男じゃありません。


 勇者と言えば、勇者パーティ。

 ご多分に漏れず、この男も、何人かの仲間を連れていました。

 一人は、戦士。名前は、ミスジ。背が高く、細身なのに力がある。大きな大きなバトルアックスを軽々と振り回しているのが、その証拠。なにより、性格がさっぱりしている美人女性だ。美人というところがポイントです。

 次に、魔法使い。名前は、サラ。正式には、サラ=ダバ。眼がとても大きくて印象的な、ふわふわした感じの魔女さんだ。ちょっと天然が入っている、可愛らしい女性だ。魔法使いサラは、魔法のステッキを持って、様々な呪文を唱えて、勇者フォルクスをサポートするぞ。


 そしてもう一人。名前は、アルト。みんなに覚えておいてほしいのは、この人です。

 背は、そうだなあ。けっこう高い。一八○cmくらい。あと、イケメン。

 そして、職業が、遊び人。嘘だと思うかも知れませんが、ただ遊んでいるだけの職業というのが、この世の中には存在するらしいですよ。うらやましいですね。

 お菓子があったらもっとうらやましいですね!

 なんの話!?


 勇者フォルクスの勇者パーティは、この四人です。

 パーティは、街で情報収集をし、クエストを引き受け、今、とあるダンジョンに来ていました。山の中にある洞窟で、内部は天然のダンジョンになっています。

 このダンジョンには、最奥部にドラゴンが巣くっていて、ドラゴンは、光るものが大好きで、宝物を溜め込んでいるそうです。ドラゴン退治のクエストと、ドラゴンが溜め込んだ宝物目当てで、えっちらおっちら旅をしてきたというわけです。

 そしてまさに今、ダンジョン最奥部で、ダンジョンの主のドラゴンと、勇者フォルクス一行は対峙していました。

 ドラゴンが、洞窟中に響き渡る大音量で、咆吼します。

 それが、戦闘開始の合図でした。

 勇者たちが、それぞれの武器を構えて、ドラゴンに立ち向かいます。

「ミスジさん! サラさん! アルトさん! 遅れないでくださいよ! ドラゴンの弱点を突くんです!」

 勇者フォルクスは真面目なので、メンバーを「さん」付けで呼ぶんです。

「これ、SS級のレアモンスター、ダークドラゴンです! 強敵ですよ!」

「腕が鳴るじゃない! 報酬が高いことでも有名だよね!?」

 サラが警告を発し、ミスジが腕まくりをします。バトルアックスを担いで振りかぶりました。

「そうです! いきますよ!」

 フォルクスのかけ声に、アルトも応えます。

「おおっ!」


 勇者フォルクスがその剣を振りかざし、目の前のドラゴンに斬りつける!

 すると、魔法使いサラが、光属性の呪文を唱える。弱点を突かれたドラゴンが、ダメージを受けて、ひるむ。戦士ミスジが、バトルアックを思いっきり振り下ろし、ドラゴンのうろこを切り裂く!

 我らがアルトが、剣を構え、勇猛果敢にドラゴンに背後から向かって行く!

 が、途中で石につまづき、こけました。

 あちゃー。

 こけて体勢が崩れたところを、ドラゴンに尻尾で弾き飛ばされました。それだけならいいですが、ついでに、次の呪文の準備に入っていた、サラにぶつかってしまいます。

 その時、アルトはサラの身体に抱きつく形になってしまった。

「きゃああああ!」

 これにはサラも驚きました。

「サラちゅわあぁぁぁん!」

 サイテー。

「このドジ! 早く離れて!」

 しっかりと、ぎゅっと掴まったまま、

「あああああ、ごめん! 決してわざとじゃないんだ!」

 わざとにしか見えない!

 とにもかくにも、離れようとしたアルトは、偶然、あくまでも偶然、その手をサラの防具に引っかけてしまいました。すると、サラの防具が、ぺろりんとはだけてしまった。どれほどはだけたかというと、肩から腰まで、上半身が全部見えるくらいにはだけたわけだ。

 わーお。たわわに実った果実は、さながら二つのマンゴー。

 サイテー!

「ぎゃああああああああああ! 何すんのよ!」

 サラが、悲鳴を上げてアルトを突き飛ばす。

「何をしてるんですか!」

 普通の男なら、「らっきー」と快哉を叫ぶところ、勇者フォルクスは、照れて顔を覆いながら、ツッコミを入れる。真面目か。

「サラ! 胸! 胸!」

 戦士ミスジも、もはやドラゴンそっちのけで、声をかけてくる。

「胸がどうかした?」

「防具がはだけて、見えてる!」

 どうやらサラは、気づいていなかったらしい。

「ぎゃあああああくぁswsでdfrfgtgひゅhじゅjきkろl;p;‘!」

 慌てて胸を隠すが、もう、その場にいた全員に見られてしまった。可哀相に。

「何をしてるんですか、あなたがたは!」

「俺が悪いのか!?」

 そうだよ!

 勇者フォルクスに怒られた我らがアルトですが、自分が悪いとは認識していませんでした。

 サイテー。

「当たり前でしょう!」

 ごもっとも!


 と、ラッキースケベで騒いでいる間、ドラゴンは待っていてくれたわけではなく、火を吐く準備をしていた。魔力をため、息を吸い、その口を大きく開いて、炎を吐き出す。

 ファイヤブレス。超超高熱の炎の息で、まともに受けると、生身では即死になってしまう。生身……サラは今、上半身、裸だ!

「危ない、サラ!」

 アルトが、先程突き飛ばされたばかりだけど、再度、サラに抱きつく。

 ファイヤブレスが、アルトの背後から吹きつける! アルトの着ている防具は、物理耐性のある魔法防具で、おかげでなんとか、ドラゴンの炎の息を防御できた。アルトは、そのまま、サラのはだけた胸に顔を埋めている。

「ありがとう、アルト!」

「どういたしまして」

 満面の笑顔で、感謝の意を述べるサラに、アルトは、これでもかというくらいの爽やかな笑顔で返す。大きなマンゴーにかぶりつきながら。

「いつまで抱きついてるんだよ!」

 その姿を見て、ミスジが、アルトに向かってバトルアックスを振り下ろす。ドラゴンに向かうのと同じくらいの力で。

「危ねえ! 殺す気か!」

 ぎりぎりでアルトが避けて、逃げる。

「死ね! 女の敵!」

 ミスジは、怒りに我を忘れてる。

「サラさん! 早く防具を付け直して! 目のやり場に困ります!」

 それでも、勇者フォルクスは、真面目でした。

 言われたサラは、ドタバタ騒いでる間に、まるでデートの前に女子高生のように、ふんふん鼻歌をならしながら、防具を付け直していた。ちょっと顔が上気している。

 つまり、顔を赤らめていると言うことだね。

「はいはいっと。いいじゃん、減るもんじゃなし。うぶな勇者様だねえ」

「あなたのおっぱいですよ!?」

 勇者フォルクスは、ツッコミも真面目だった。


 もちろん、そんなドタバタが繰り広げられているからと言って、ドラゴンが待っていてあげる義理もないので、更に次のファイヤブレスを吐くための準備を始めている。

 溜め技は、発動まで時間がかかるのが弱点だよね。

 そこで、我らが女の敵アルトが、そんな溜め中のドラゴンに突進しました。なんて卑怯な。

 アルトは、剣を振りかざす。

「でやあああああ!」

 アルトの名誉のためにも言っておくけど、構えはかっこいいんだよ。見た目も。ただ、それがそのまま剣の技に反映されてないのが、格好だけの男の哀しいところなんだよね。

 アルトが振り下ろした剣は、ドラゴンのうろこにはじかれ、あっさり折れてしまいました。

「嘘だろ!? 硬い!」

 驚いてるけど、しょせん遊び人だし。

「アルトさん、どいてください! ドラゴンは、弱点を突くんです!」

 フォルクスが、一気に間合いを詰め、ドラゴンの胸元に入り込む!

 ドラゴンの顎の下から真上に向かって剣を突き立て、ドラゴンがファイヤブレスを吐こうとして開けた口を、剣で串刺しにして閉じてしまう。

 ファイヤブレスが暴発した! ドラゴンが悲鳴を上げる!

「今です!」

 フォルクスのかけ声にドンピシャで合わせたのは、戦士ミスジ。バトルアックスで、ドラゴンの脳天を今度は真上から直撃!

 更に、防具を着直したサラが、呪文を唱える。

「光の呪文!【好奇高貴光輝光線(ピカピカピカリンリン)!】」

 光属性の呪文を、ドラゴンにぶつける。ドラゴンは、もはや動くこともままならない。

「とどめだ!」

 サラの呪文で完全に弱っているドラゴン。

 フォルクスが、顎下から抜いた剣を振りかざして、一気に、ドラゴンの首を斬り落とす!

 ドラゴンは、頭部と胴体が永遠にお別れした状態で、倒された。

「倒した!」と、バトルアックスを杖代わりにして立つミスジ。

「やりましたね」と、Vサインを作って勝利を喜ぶサラ。

「グッジョブ」と、アルトは腕組みしながらサムズアップ。

 お前、邪魔しかしてないだろうが、というツッコミを、勇者フォルクスは飲み込んだ。

 真面目か。


 ドラゴンの死体の向こう側には、大量の財宝が護られていた。

「すごい! さすがドラゴン。財宝溜め込んでるねえ」

 ミスジが、財宝を見て、目を輝かせる。ミスジの眼か宝石かっていうくらいに、どっちもキラキラしている。戦士をやっていても、もちろん宝石は好きなんです。お金になるからね。

「もしかしてこれ、レアアイテムの、ブラックナイトじゃない? ドラゴンが体内で生成してドロップするって言う」

 サラが、ドラゴンの死体のそばに落ちていた、黒く輝く宝石を拾って言う。体内から出てきたので、血とか粘液とかでドロドロぐちゅぐちゅしているけど、魔法使いサラは、そういうのは平気なようです。

 ブラックナイトはその名の通り、黒い宝石で、中には夜の空に浮かぶ星々のような輝きがある。人によっては、そこに夜が閉じ込められていると、詩に唄う者もいるといいます。

「やりましたね。手に入るかどうかは五分五分でしたが、ラッキーでした」

 真面目か。

「やったぜ! 大金持ちだ!」

 大喜びのアルトだけど、サラから釘を刺されました。

「アルトにはあげないよ」

「なんでだよ」

「アルトは、分け前もらっても、またギャンブルですっちゃうでしょ」

 そう言われても、

「ちゃんと儲けて、飯おごってやるよ」

 アルトはめげません。

 アルトが、ドラゴンの財宝に近づいて、自分も物色しようとする。

 ところが、フォルクスが、そのアルトを止めました。

「アルト! あなたはダメだ!」

「何でだよ」

「この財宝は、僕たちで分ける。あなたの取り分はない」

「ふざけんなよ! このパーティで稼いだ財宝は共有財産にして、山分けって約束だろ?」

 アルトの怒りもごもっとも。

「あなたにその権利はない」

「俺だってパーティの一員だぞ!」

「何がパーティの一員ですか。一体あなたがなんの役に立ってるんだ。攻撃をしようとすると三回に一回は失敗するし、その、さっきだって、サラさんたちに、えっと、エッチなことはするし!」

 フォルクスの怒りもごもっとも。

「いや、そうだけど、しょうがないじゃねえか。俺だって必死になって働いてるんだぜ?」

「ジョブとしての遊び人は、レベルが上がればクラスチェンジできる噂があったから仲間にしたけど、いつになったらクラスチェンジできるんです?

「五〇、くらいかなあ」

「あなた、今いくつですか?」

「七」

 よわ! と、ツッコむところだよ。

「僕らのパーティに入って半年、上がったレベルは?」

「二だよ!」

 少な! と、ツッコむところだよ。

「ただの役立たずじゃないか!」

「どんなレベルだって、一歩ずつしか進めないし、時間がかかるんだからしょうがないだろう!」

 アルトが言っていることは、確かにその通り。だけど、真面目なフォルクスにとっては、だからOKというわけにはいかないわけです。

 仕事というのは、真面目にやれば評価されるんじゃない。結果を出して初めて評価される。

 もっとも、我らがアルトには、真面目さも結果もどっちもなかったわけだけど。

「もういい。もう無理! 追放だ! このパーティから出て行け!」

 だから、フォルクスがこんなことを言い出すのも、至極もっともでした。

「ちょっと、いきなり追放って、考え直そうよ」

 追放、という言葉を聞いて、サラが慌てて止めに入る。けど、

「ダメだ! サラさん。なんでこいつの肩を持つんだ?」

「だって、さっきは助けてもらったし……」

 サラさんは、もじもじしながら、フォルクスに抗弁します。ん?

「ほらほら!」

 かばってもらってるのに、鬼の首取ったようにイキるのが、我らがアルトという男です。

「助けなきゃいけない原因を作ったのは、そもそもこいつですよ!」

 フォルクスは、正論を振りかざします。

 真面目か。

「だいたい、戦闘中に服脱がすかね」

 嫌悪感たっぷりに、ミスジが言うが、

「脱がし方がなめらかすぎて、逆にびびるよね」

 サラの方は特に気にしていなかった。んん?

「慣れすぎ」

 ミスジがイライラしてる。んんん?

 そんな二人の女性の雰囲気を知ってか知らずか、

「続きは宿屋でね。今晩もかわいがってあげるから」

「あら♡」

 アルトの言葉に、サラが喜ぶ。んんんんん?

「ちょっと! 今晩は、あたしの番じゃ、ないのかよ……」

 ミスジが、怒ってるようでありながら、顔が真っ赤になっている。んんんんんんー?

「やめろー! うちのパーティは、健全さが売りなんだ!」

 勇者フォルクスくんは、どこまでも真面目だった。

「堅いこと言うなよ、勇者フォルクス」

「うるさい! パーティの倫理をかき乱すな! 出てけ!」

 真面目な人を、からかったり怒らせたりしちゃダメですよ。

 取り返しの付かないことになるからね。ちょっと可哀相だからね。

「ちょっと。考え直してよ!」

 サラは、アルトの腕に自分の腕を絡ませている。完全に、彼女ヅラしている。

「そうだよ! こいつにだって、いいところはあるんだし」

 アルトの反対側の腕に、ミスジがしがみつく。「このダメ男は、私が面倒見なきゃダメなんだよなー」という、お姉さんぶった雰囲気で。

 フォルクスは、そんな二人にもイライラしてきたわけだけど、

「ダメだ。もう決めた! 遊び人アルト! 君は追放だ!」

 追放するのは、一人だけ。そりゃそうだよね。他二人は有能だし。

「わかったよ! ああ、わかったよ! 出てけばいいんだろう、出てけば!」

 売り言葉に買い言葉、勢いで、アルトも反応してしまう。

 サラとミスジを振りほどいて、その場を去ろうとする。けど。

「待て。その装備一式、置いていけ」

「はぁ?」

 我らがアルト、キッと睨むその態度は、もはやただのチンピラでした。

「あなたの装備は、僕がお金を出して用意したものです。鋼の剣に魔法の胸あて。剣は折れててもかまいません。返してください。それから、薬草などの道具も、渡していたお金も。お情けで、金貨三枚は残してあげます」

「薬草はあるけど、そもそも金貨一枚しか残ってねえよ」

「じゃあ、最後の情けです。その金貨一枚だけ、残してあげます。さあ」

「たいした勇者様だよ」

 悪態をつきながら、アルトは、武器や防具をその場に放り捨てました。勇者パーティどころか遊び人にも見えない、ただの貧乏くさいイケメンが、そこにいました。

「遊び人アルト。現時点を以て、勇者パーティを、追放する!」


 さて、ところ変わって、ここは、崖の上にそびえ立つ、大きな大きな古びた屋敷。

 空には満月が輝く、真っ暗な夜の闇。

 次に紹介するのは、三人の登場人物のうちの、二人目。


 屋敷の最上階には、大貴族の立派な身なりをした大きな男がいました。しかし普通の男ではなく、顔色が悪い。真っ青です。というより、ほぼほぼ黒い。青黒い。

 生きている人間であることをやめた、人間を超越した存在。

 この屋敷の主人は、アンデッドモンスターなのです。

 念のために言っておくけど、二人目じゃありませんよ。


 そのアンデッドに立ち向かうのは、勇者ポロ。

 勇者ポロは、とっても美人です。腰までかかった豊かな髪は栗色で、目鼻立ちもクッキリとし、ブルーの瞳はまっすぐ目の前の人間を射貫く美しさ。身長は高く、その肢体はすらっとしており、胸は大きく、腰は細く、ヒップはなめらか。非の打ち所のない芸術品といっても過言ではなく、美しい。

 勇者としての力量も一流で、剣も魔法も、高レベルで使いこなすことができる。全身を覆う鎧も、魔法属性の付与されたもので、それなりに露出があるけど、防御力は高く、動きを制限しない。勇者らしく剣と盾を構えた、オーソドックスなスタイル。

 まるで主人公のような勇者です。

 だけど、やっぱり二人目はこの人じゃありません。

「ケルシュ! 援護をお願い!」

 勇者ポロのパーティは二人制。つまり、メンバーはもう一人。それが、

「任せろ!」

 この男、ケルシュ。これが、二人目です。


 ケルシュは、これまたイケメンです。一九〇cmほどの身長で、穏やかで端正な顔立ち。女性の一〇人中九人どころか、同性であってもほぼほぼ心奪われるほどの、優しさが表に出ている男。筋肉質だが体格はごついわけではなく、スマートで引き締まっている。声は低くて穏やかで、見た目もおしゃれで非の打ち所がありません。

 職業は吟遊詩人。もちろん、琴やその他の楽器を武器にすることもあるけど、通常武器は全般使うことができる万能手。今は、弓矢を装備しています。あくまでも、勇者のサポートに徹する、サブメンバーです。


 そんな美男子のケルシュが、弓矢を構えます。屋敷の主人に立ち向かうポロの背後から、矢を放つ。ケルシュは、吟遊詩人ではありますが、基本スペックが高く、どんな楽器だろうと武器だろうと、使いこなしてしまいます。

 屋敷の主人、アンデッドモンスターに、ケルシュが放った矢が刺さる。

 でも、特に反応がありません。

 美人のポロが、剣で斬りつけます。けど、美人の剣は屋敷の主人に捕まれ、身体ごとはじき飛ばされてしまいました。

 勇者ポロが、体勢を立て直して言います。

「剣が効かない」

「相手はアンデッドだ。特別な装備でないと、倒せないのかも知れない」

 イケメンの条件の一つ、常に冷静。

「おそらくそうだろうね」

 美人の条件の一つ、常に余裕。

「どうする?」

「魔法効果を施した矢があったはずだよね。それ使って」

「けっこう高かったけど、今使うのでいい?」

「今使うために買ったんじゃない?」

「了解だ」

 ケルシュが、道具袋から魔法の矢を取り出し、弓につがえます。

 屋敷の主人が、ポロに再び襲いかかる。矢を放つ!

 見事命中! 屋敷の主人の胸に、深々と突き刺さる。

 夜の闇をつんざくような悲鳴が上がる。

「効いてる!」

「今度こそ!」

 苦痛に身悶えする屋敷の主人に、ポロが、剣で斬りつける。

 屋敷の主人が、斬りつけられて、身体から血を吹き出す。

 でも、さすがはアンデッドモンスター。屋敷の主人は、緑色の気色悪い色の血を垂れ流しながら、更に攻撃をしてきます。


「ダメだ。まだ、ダメージが低い」

「アンデッドの弱点は、聖なる攻撃だ。僕が歌を歌う」

 ケルシュが、吟遊詩人として作戦を提案しました。

 驚いたのは、誰あろう、勇者ポロです。

「えっ」

「吟遊詩人のホーリーソングで、アンデッドの不死の能力を抑え込むから、その隙に攻撃してくれ」

 ところが、勇者ポロは、身も世もなく慌てました。

「あっ! ちょっと! ちょっと待って!」

「なんだい? 早くしないと、夜が明けて、また闇に潜っちゃう。今しか倒せるチャンスはないんだぞ!」

 アンデッドモンスターは、夜の闇の中でしか活動できないけど、同時に、夜の闇の中でなければ倒せないという面倒くさいルールがあるのです。

「分かってる、分かってる。寝ている間は、どれほど攻撃しても無意味で、夜の闇で力が活性化しているときじゃないと、本当の意味では倒せない」

 昼日中に棺桶の中で寝ているところに襲いかかり、ニンニクすりつぶして、白木の杭を心臓に打ち込めばよかった時代が懐かしい。

「夜明けまで、あともう数分。時間がないんだ!」

 イケメンが、まっすぐに見つめてくる。ポロがちょっと顔を赤らめる。

「わかってる」

「ホーリーソングは、たっぷり三分ある」

「わかってる、そう。うん、わかってる」

 多分、分かってないときに、こういう言い方するよね。

「何をグズグズしてるんだ? あいつが回復しちゃうぞ」

 ポロが、意を決してケルシュに言う。

「歌うのだけは絶対にやめて」

 ケルシュが、目を見開いて驚く。

「勇者ポロ。こんなチャンスは、もうないかも知れないんだぞ?」

「わかってる。わかってるから!」

「いくよ?」

「やめろって言ってんだろうが!」

 美人がキレた。


 そんな痴話げんかを繰り広げている間に、かろうじて動きを回復した屋敷の主人が、二人に襲いかかってくる。二人とも、慌てて避ける。

「もう無理だ。いくよ!」

 ケルシュが、弓矢をしまい、代わりに琴を取り出す。つま弾く。キレイな音色。

「やめろーーーーー!」


 むかし一人の王様が 獅子の子どもを飼っていた

 ある日王様お付きの者に 獅子の衣裳を作らせた

 ところが従者は獣が嫌い 寸法取るのもできはせぬ

 そこで一計案じた従者 獅子の食事に毒混ぜた

 寝転んでしまえばこちらのものだ そのまま寸法とったとさ

 されど王様悲嘆に暮れた 衣裳はあれど獅子がいない

 従者はひと言申し上ぐ 承りしは衣裳作り獅子の命は範疇外

 左様であれば仕方なし 王様従者の首はねた

 

 美しい琴の音色に乗せて、流れてくるのは意味不明な詩。

 だけど、問題なのはそこじゃない。誰だ。音痴とか言うやつは?

 正解です!

 全てにおいて完璧に見えるケルシュ。そのケルシュが、歌を歌う。そのあまりの音程の外れっぷり、リズムのずれっぷりに、ポロが動けなくなりました。でもケルシュは、一人、悦に入っていました。これが有名な、フグは自分の毒では死なない、です。

 そう、吟遊詩人ケルシュは、吟遊詩人のくせに、信じられないくらいに詩文の才能がなく、さらに輪をかけて、音痴だったのです。

 しかも手に負えないことに、本人は気づいていない。

「早く! 勇者ポロ! 急げ!」

 歌いながら、ケルシュが急かすが、

「無茶言うな!」

 歌のせいで、ポロは動きが鈍かった。

 それでもさすがは勇者ポロ。かろうじて起き上がり、大音量でケルシュの歌声が響く中、耳を塞いで苦痛に満ちた表情を浮かべる屋敷の主人の心臓に、剣を突き立てました。

 ホーリーソングに、勇者の剣。アンデッドモンスターの屋敷の主人が、弱点を突かれて、塵となって消えました。

「勝った!」

 歌の余韻に浸りながら、ケルシュが喜びの声を上げるが、対する勇者ポロは、満身創痍だった。主に、味方のせいで。

「そうだねー」

「やったね! 勇者ローレン!」

 勇者、ポロ? あれ?

「……誰?」

 ポロが、ケルシュを睨む。

「やったね、勇者ポロ」

 言い直すけど、それは、もう、遅い……。

「うん、その前に、別の女の名前言ったよね?」

「言ってない」

 ごまかそうとしてる。それは悪手だ。やっちゃだめ!

 ポロが、その美しい顔を満面の笑みで埋めてから、訊きました。

「怒らないから」

 目だけが笑ってない。ケルシュの身体から滝のように汗が流れる。

「言った」

「ふぅん。誰?」

「どうでもいいじゃんか。今は、中ボスのアンデッドモンスターを倒したことを喜ぼうよ」

「ふぅん。どうでもいいんだ」

 ポロの目が、どんどん据わっていく。

「ところで、昨晩、宿屋を抜け出したのは、そのローレンとかいう女に会うため?」

「僕が誘ったわけじゃない」

 ポロの美しき笑顔と対照的な、まるで小動物のような、ケルシュの顔。

「ねえ、ケルシュ。私たちがパーティを組んでから、どれくらいになるかな?」

「そろそろ三年……かな。三周年のお祝いしないと」

「その間、他にも何人か、パーティに加えたことはあるけど、みんな長続きしないよね」

「根性が足りないのかな?」

 もう、ケルシュはポロの目をまともに見れなくなってる。

「ねえ。何人に手を出したら気が済むの?」

「いや、気が済むとかそういうことじゃ」

「そのたびに、浮気を気にして、結局新しく入る人も全部やめさせることになって。あなたはすごいよ。本当にすごい。剣も弓も、技術的なものでは、一つを除いてあらゆるスペックが最高レベルだと思う。パートナーとしても、男としても。でも、理性と欲望と下半身の品性が、最低すぎるのよ!」

 ポロの罵倒は、けっこう上品でした。

「ひどい言われようだな」

 ケルシュは、けっこうダメージ喰らった。

「あーもう、何でこんな男とパーティ組んじゃったんだろ」

「愛してるのは、勇者ポロ。君だけだよ」

 でた。常套句。

「吟遊詩人として、その詩の才能のなさはどうにかならないの? だいたい、もうそんな言葉が聞きたいわけじゃないから。シルビア、ヴェル、スープラ、エクシーガ、アリオン、ランサー、レディZ、アルシオーネ、イベッカ……これ、女だけじゃないよね? ちょこちょこ男もいるよね?」

「なんで、そんなに覚えてるの?」

 ポロは嫉妬深く執念深い女だった。

「もうやだ。こんな気持ちになるくらいなら、もういい」

「機嫌直せよ。悪かったから」

「もういい。今度、新しくパーティ組もうと思ってる人がいるの」

 それは、ケルシュには寝耳に水でした。これまでも何度も浮気してきたけど、ポロが浮気することはなかった。だから、安心しきっていたのです。

「嘘だろ?」

「別れましょう。あなたとは、今回のバトルを最後にするって決めてたんだ」

 ポロは、目に涙を浮かべている。その涙が、流れないようにこらえている。

「おい、ポロ」

「吟遊詩人ケルシュ。あなたを、私、勇者ポロのパーティから、追放します」

 ケルシュは、身ぐるみ剥がされました。


 さあ、これで、ようやく二人目。

 残すところはあと一人、三人目の登場人物のおでましです。


 三人目は、名前はヴァイ=ツェン。呼びやすく言うと、ヴァイです。

 ヴァイは、もう限界でした。旅をして旅をして、長いことフラフラと生きてきて、全ての食糧が尽き、路銀(要するにお金)もなくなってしまった。

 もはやこれまで。生きることを諦めかけたとき、街が見えた。

 城下町だ。ここなら、何とかなる! そう思い、冒険者の酒場に行きました。

 でももちろん、注文はできない。お金がないから。でも、お金がないなら、お金がある人からもらえばいい。砂漠にはいないけど、城下町には、お金持ちがたくさんいる。持ってる人からもらえば、お金なんていくらでも稼ぐことができる。

 酒場の店主に交渉する。酒場の一角を貸してもらって、踊りを披露するから、おひねり=投げ銭がもらえたら、それで食事をしたい、と。

 店主からは、興味なさげに、好きにしろ、といわれた。そこで、踊りました。

 なぜ踊ったのかというと、ヴァイの職業は、踊り子だったからです。

 ところが、酒場の一角を借りて踊りを披露したはいいが、リズムに乗れない、アイソレーションができない、振りが安定せず、形が整わずにバラバラ、とまあ、とにかくあまりにも下手で、お客さんからブーイングが出てしまった次第です。

 ブーイングと同時に、笑われました。けど、笑いが生じたと言うことは、楽しんでくれた人がいると言うこと。

 なけなしの銅貨が一枚、客席のどこからか飛んできた。

「ありがとうございます!」

 大きな声で礼を言い、カウンターに行き、店主に一杯のビールを注文しました。

 ジョッキに半分だけもらえた。銅貨一枚分。ケチ。


 紹介終わり。

 えっ、短くない!?

 充分でしょ。


 さてさて、この世界には、予言があった。覚えてるかな? そう。

「世界は滅亡する」

 もう一つ。

「この世界を滅亡から救うのは、勇者。選ばれし勇者」

 ところが、予言から、既に一〇○〇年。巷では、「そもそもこの予言、いつ発生するのか書いてなくない?」という声をきっかけに、「予言はすべて大嘘」という意見が大きくなった。それでも、その間に、勇者はたくさん生まれたのです。

 勇者は、勝手に名乗っていいわけじゃない。この世界では、勇者になりたい人は教会に行く。そして教会で、託宣を受ける。その託宣によって、職業を割り振られることになります。

 その時に、「勇者」と認定された人だけが、「勇者」を名乗り、勇者パーティを結成することができというわけです。人数に上限はないため、一人でも、四○人でもかまわない。

 ただし、パーティに勇者は一人、それ以外は、別のジョブというのが、暗黙の了解です。

 そのジョブも、託宣によって与えられる。人によっては、「戦士」、「魔法使い」、「僧侶」などなど、おなじみのジョブを与えられます。そのジョブは多岐に渡り、適正というわけでもなくランダムに与えられるので、イケメンな上に「遊び人」や、歌が下手なのに「吟遊詩人」なんてのも生まれてしまう。それからもう一つ、ジョブを与えられるのと同時に、一人に一つ、「スキル」が与えられる。これもまた、ジョブや適正とはまったく関係なく、ただただ割り振られる、まさに運によって決まるものだけど、今回は、説明が長くなるので、おいおい説明していくね。

 そして、ヴァイは、「踊り子」のジョブを与えられました。

 でも、残念なことに、圧倒的にリズム感がなく、踊りの才能が皆無だったのです。


 その日、その酒場にいたのは、ヴァイだけじゃありませんでした。

 これは奇妙な偶然で、勇者パーティを追放されたばかりの、遊び人アルトと、吟遊詩人ケルシュもまた、同じ酒場でビールを注文していました。

 三人は、同じテーブルに着き、それぞれにジョッキを持っています。

 そして、三人が三人とも、大きなため息をつきました。

「なんだよ、しけたツラばっかりだな」

 ジョッキに口を付ける前に、アルトが他二人を揶揄しました。

「あなただってそうでしょう?」

 今、踊ったばかりでまだ顔が上気しているヴァイ。

「また追放されたの?」

 とは、生まれて初めて追放の憂き目に遭い、元気をなくしたケルシュ。

「それどころか、誰も僕をパーティに入れてくれません。ケルシュは?」

「今回は、俺も追放されたよ」

 そう聞いて、ヴァイは驚き、アルトはめちゃくちゃ喜んだ。

「本当に!? けっこういい感じだったですよね」

「おお! あの、美人で胸がでかくて腰が細くて美人の巨乳」

「何回同じこと言うんだよ!」

「それは惜しいことしたなあ」

 ニヤニヤしているけど、別にアルトが後釜になるわけでもないのに。

「ちょっとの浮気くらい、大目に見てほしいよな」

「ちょっとってどれくらい?」

「数人……いや、二、三〇くらい?」

 だいぶだった。

「その分だと、五〇はいってるな」

「三年でそれなら、そう多くない」

「男もいたのがまずかったんじゃないの?」

 アルトは、まったく理解できんとでもいう感じで言うけど、

「いや、男は、それはそれでありなんだそうだ」

 あんまり気にしてなかった。

「ありなんだ」

「まじかよ。俺はその気はねえからな!」

「お前みたいな遊び人に、興味ねえよ」

 遊び人の定義が曖昧になっている気がするけど、あくまでもここでは浮気遊びのことじゃなくて、ジョブのことだと理解してください。

「あーあ、俺もこんなジョブじゃなけりゃなあ」

「ジョブは運命で勝手に決められてるからな」

「俺も勇者になりたかったよ」

「俺だって」

 ぼやく二人に、ヴァイが嘆きをぶつける。

「皆さんはいいですよ。僕なんか、踊り子ですよ? なんでそんなジョブが割り当てられたのか、いまだに理解ができません」

「リズム感ないしな」

「笑顔はいいと褒められるのですが」

 ヴァイは、小柄だ。童顔で、いわゆるカワイイ系の男子。これで、お姉様方には人気なんだけど、どうしても、踊り子というジョブと、踊れないという点で、「かわいいだけじゃね」と深い仲になる前に誰も深入りしてくれない。

「そろいもそろって、役に立たねえなあ。さて、何に乾杯する?」

「他にないでしょ」

「だな。役立たずな——」と、吟遊詩人ケルシュ。

「クズ人間の——」と、遊び人アルト。

「追放に——」と、踊り子ヴァイ。

「乾杯!」

 三人が、ジョッキをガチンとぶつけて乾杯し、ビールをぐいと飲みました。

 一人は半分だけど。


 三人は、しばらくくだを巻いた。

「僕、考えたんですけど」

 ジョッキ半分のビールだけで、酔っ払ったヴァイが提案しました。

「何を」

 アルトは、手持ちのお金を使い尽くしたいのか、もうビールは一〇杯を超え、つまみもたくさん頼んでいる。ヴァイには分けてあげていない。

「僕たちで、パーティを組みませんか?」

「バカかお前は。知ってるだろ? 勇者がいないとパーティは組めない。常識だろ」

 この世界では、勇者を軸にして全てが決まっている。

「ええ、だから、勇者パーティじゃなく、僕らだけのパーティです」

「遊び人と吟遊詩人と踊り子が組んで、なんのパーティになるんだよ」

「分かりません。でも、僕たちなら、何か面白いことができそうな気がしませんか?」

 ヴァイの提案に、ヴァイ自身も含めた三人が、腕組みをして悩みました。


 こうして、三人の登場人物がそろい、ようやく、物語は幕を開けることとなったのです!

 さあて! これから先、いろんな事件が待っているけど、ひとまず今日はここまで!


 ということで、三人の今後が気になるという方、チャンネル登録とグッドボタンをよろしくお願いします!

 イケメンたちがもっと大変な目に遭えばいいのにと思う方も、チャンネル登録とグッドボタン、お願いします!


 クチーナ・アルコバレーノ、初回なので、ちょっとまだ硬い部分もあったかと思いますが、徐々に慣れていくと思いますので、よろしくお付き合いください!

 それでは、またの次回の配信を、お楽しみに!


 あなたのハートをパイレーツ!

 アランと、

 ヴィオラでしたー!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る