お酒

私はお酒が好きだ。江國香織さんの小説の中で、「趣味は飲酒」といったようなことを言っている人がいたけれど、江國さんらしくシンプルで素敵な表現だと思った。以降、私の趣味一覧の中にも「飲酒」という言葉が加わった。それもかなり大きな面積を占めている。


お酒の魅力ってなんだろう?最初に好きになった理由は、なんか格好いいから。バーでウイスキーを飲みながら思索に耽っていたり、仕事で疲れたご褒美にビールを飲んだり、家でさっと作ったおつまみとワインで語り合ったり、そういう大人ってなんかいいなぁと思っていた。そして幸いなことに(?)、大学生の頃はよく飲む仲間に恵まれ、よく飲めることが良しとされる団体に属していたから、まんまと酒飲みになってしまった。お酒を介して、結構楽しい思いをしたので、お酒=楽しいという認識がここで植え付けられたのである。ハッピーなことである。


社会人になってからは、お酒というもの自体に興味を持ち、新卒で入った会社を一年半もたたずして辞め、ワイン関係の道へ進んでいった。猛勉強して、ようやくソムリエの資格も手に入れた。

そこで、太宰治でいう、トカトントンである。もう、どうでもよくなってしまった。もちろんワインはとても好きだし、他のお酒も好きだけれど、いつまでもこれを仕事にしているのか?と思ってしまった。蓄えられた知識と習慣で働いているだけである。

思えば、大学の時も、思考プロセスを学ぶのが面白そうと法学部に入ったけれど、いざ学んでみると、面白いけど仕事にはしたくないなぁと思っていたのである。

傲慢ですね。まだ何か自分にふさわしいものがあると思っている。

もっとあらゆるものの本質に迫ってみたい、世の中をよりハッピーにすることが、他の方法でできるのではないかという思いがよぎってしまう。

とはいえお酒の知識も無駄になったとは思っていない。全部含めて、世のためになれたらいいなと思っている。

今日もできることをやるのみ。謙虚で、ポジティブに、笑顔でいましょうね。

そして、疲れたらお酒に癒されましょう。そのお酒選びに悩んだら、あなたのお役に立てるのではないかな、なんてね。

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