聖女の親友の前日弾 1
私の名前はフランソワ……ですが、今はそんな事はどうでも良いのです。
私は親友の無念を晴らすべく駆け出していました。
リリアーテは私の侍女として共に過ごした女の子。
平民でありながら高い目標を持ち、その目標に向かって邁進する姿は眩しく、目標のためには私の侍女という仕事は足掛けでしょうに、一切手を抜く事なく頑張っていました。
私はそんなリリアーテのことが大好きで、主従ではなく友人として接したいと常々思っていたのです。
転機は彼女が伝承にある聖女だと判明したことにありました。
そこからはアレよアレよという間にリリアーテも同じ学校に通うことになり、私はこの機会を逃さずに友人として対等な立場でいる事に成功したのです。
彼女は幼い頃に出会ったアンヌマリー様を敬愛しており、彼女がどれだけ素晴らしいのか。
そして、どれだけアンヌマリー様に仕えたいかをずっと私に聞かせてくれていました。
だからこそ、今回リリアーテを……私の親友を叩いた事は絶対に許せません!
と息巻いて教室を出たまでは良かったのですが……
「ここはどこでしょうか?」
私はよく分からない森の中にいました。
いえ、学園の敷地内なので本物の森ではないのでしょうが……頭に血が上り過ぎていたようですね。
まずは落ち着きましょう……すーはーすーはー。
よし、落ち着きました、
「……っ、……さい」
「!?」
突然女性が泣き縋るようなか細い声が聞こえてきます。
驚きましたが、泣いている女性がいるのであれば放っては置けません!
声を頼りにそちらの方へ歩いて行くと、授業で見慣れた教会へと辿り着きました。
どうやら、この森は教会の周りにある場所だったようです。
普段は道なりに進んでいるので分かりませんでしたね。
それはさておき、私は窓から教会の中を覗き見します。
「あっ!!」
その中にいる人物を見て思わず声をあげそうになったものの、慌てて口を手で塞ぎました。
そこには私が探していた人物……アンヌマリーの姿があったからです。
本当なら直ぐに文句を言ってやろうと飛び出したいところだったのですが、こうして口を覆って隠れてしまったのは彼女が泣いていたから。
「ごめんなさい……リリアーテ。
貴女の為とはいえ、こんな嫌がらせをしなくてはいけない私をどうぞ憎んでください。
全てが終われば、嫌われた私は貴女の前から消えますから。
どうかその日まで……貴女の前では謝れないので、ここで謝らせてください」
それも、私の親友の名前と謝罪の言葉を口にしていたからだ。
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