第10
☆
扉を開けるとそこは、天空に浮く島だった。
「・・・ここが外の世界?」
「マスター。そーみたいねぇ」
「グゥヴヴヴヴヴヴヴ」
クロキは、何かを威嚇する。
クロキの目線を辿ると白い翼に、綺麗な金髪の天使ぽい少女が凄いスピードで向かって来ていた。ゴブゾは、太刀を抜き戦闘態勢に入る。
「マスター!あれは、ヤバそうな気配がします」
「・・・敵ぽいな。気を付けろよお前ら。」
「わかったわ。」
ユキナは、気配を消す。
「皆さん!。私は敵ではありません!剣を収めてください!」
天使ぽい少女は、焦っている。スピードを落とさないまま扉に顔面から激突した。ずる~とゆっくりと落ちていく。扉に血の後がついていた。・・・うわぁ。痛そう。
ユキナも「うわぁ。痛そう」と言って姿を現した。太刀を収めて此方に天使ぽい少女に近づくゴブゾ。
「貴方は一体誰ですか?」
天使ぽい少女は、正座をして怯えた様子でゴブゾを見た。
「わ、私は、天使No.2。神様の命令で貴方たちをお迎えに参りました。」
「・・・俺たちを?。神様が?。」
「はい!・・・ま。魔王だ!」
俺を見て怯える天使。少し近づいただけで泣き出しそうになる。
俺は、ゴブゾの後ろに隠れるとホッと胸を撫で下ろす天使。
「あの~悪いんですけど魔王様。これ以上近づかないで貰いますか?」
「マスターに失礼ですよ。殺しますよ。」
「す、すいません。すいません」
何度も謝罪する天使に殺意を向けるゴブゾは、太刀に手を置く。
「もーいいよ。ゴブゾ。神様の所に案内して貰うぜ!」
「・・・少しでも敵意を向けたらうちが殺すから。」
「まぁまぁ。その時は俺がやるから。」
「ヒィイイ。私は敵ではありませんから!!」
天使は、怯えた様子で俺たちを神様の元へと連れていく。
白い綺麗な神殿は、何処か神々しい。肌がピリピリとじんわりと痛い。
「この奥に神様がお待ちですので行きましょう!」
天使は、無理して元気を出しているように見える。
天使たちは、神殿に入っていく。
俺は、呼吸を整えて神殿に足を踏み入れる。
神殿には、多くの天使たちが忙しそうに働いていた。
一部の天使たちは、俺たちを見てひそひそ話をしていた。
「・・・敵意はないようだが。なんだろうか。この違和感。天敵を見ているような。」
「それはそうでしょう?。貴方は魔王。私たちは天使。悪と正義。魔王と勇者みたいな関係ですから。・・・からといって、殺さないでください。私たちは貴方たちに勝てませんので。」
天使は怯えてながらも神様の元へと案内している。だから怯えているのか?何か違う気もする。なんだろうか。
☆
他の扉に比べてかなり大きい扉。他の扉と違いかなり豪勢に作られたその扉。
ふぅーと緊張したを解くように息を吐きノックして扉を開ける天使。
その部屋には、大きな地球儀みたいな物が中央に飾られている。その前には、豪華な机があり、そこで事務作業している女性。御光がさして顔を確認出来ない。
「No.2。ありがとう。貴方が魔王。そして、その眷属たちですか。どうぞ、お入りください。」
「では、女神様。私はこれで!失礼しました!」
天使は猛スピードでこの場から逃げ出す。え?早い。どんだけ嫌だったんだ。
「で?俺たちを呼んだ理由は?」
殺気を込めて睨むが女神は、動揺も見えず冷静だった。
「・・・それは、私に協力して欲しいですよ。」
女神は、指パッチンをすると3席の椅子が俺たちの元へとやってくる。その椅子に俺たちは座る。
「・・・。協力?。俺たちに?。怖いんだけど。」
「こ、こわくないよ?」
「はぁー。俺たちに何をして欲しいんだよ。」
「それは。・・・。その。・・・。」
「そんなに言いづらいのか?」
「この世界を救って欲しいのよ。」
「はぁ?そんなの勇者に頼めよ」
「協力してくれたら一つ願いを叶えてあげる。」
「願いをねぇ」
疑って見ると少し動揺した女神。
「・・・私が叶えられる程度にしてねぇ?」
「もちろん
「え、えと。そ、そうよ。当たり前じゃない。」
明らかに考えてなかったなぁ。こいつ。まぁ。言質は、とったし。いいだろ。
「その協力って何をすればいいんだ?」
パンっと机を叩き立ち上がる女神は、此方に指を指す。
「それはねぇ。・・・この世界の迷宮に封じた邪神【ロキ】の討伐よ!。その討伐は、勇者が止めをさして邪神の魂を抹消するのに協力してほしいのよ!」
待てよ。元神様の願いを叶えるか。この女神に協力するか。・・・。どちらにせよ。俺の願いは、変わらない。元神様が言っていた遊戯の神とやらは、俺の予測が正しければ邪神だろうし。結果的に殺すことは、変わらない。とりあえず保留するか。この世界を旅して決めるとするか。
「・・・すまんが保留で。」
「え?何で!?」
「はぁ。まだお前を信用無い。・・・それに。こっちに嫌な気配が来ているしそれどころじゃなくなる」
「え?」
ドーンと爆発音と共に扉が吹き飛んだ。そこには、扉を蹴破っただろうと思われる人が立っていた。そいつに見覚えのある金髪変人野郎だった。
「おい!糞女神!あいつ!来てるんだろ!!会われろ!・・・っているじゃねかよ。久しぶりだなぁ!イレギュラー!と鬼野郎!」
馴れ馴れしく俺の肩に腕を回す。その腕を振り払い顔面を殴る。
「馴れ馴れしくするなぁ!変人野郎!」
「・・・チッ。・・・殺るか?。イレギュラー?」
俺は、立ち上がり金髪野郎と睨み合う。
☆
「殺る。・・・今度こそ殺す。」
「てめぇごときが俺を殺せるのか?」
「・・・お前こそ。俺を殺せるの?」
いがみ合い俺たちを止めようとゴブゾは、金髪変人野郎に太刀をむける。
「悪魔・・・私たちもいることを忘れていませんか?」
「あ?忘れるわけねぇだろ?お前も喧嘩に混ざるか?なぁ!?」
「やめなさい!!この神殿よ!!
俺たちは、呆れてたように女神を睨む。
「な、何よ。まぁー。座りなさい。・・・
「チッ。・・・わかったよ」
不満そうに椅子に座り足を組む。大きなため息をして真剣な顔をする女神。
「貴方達も座って。・・・話の続きをしましょう?」
俺たちも座る。
「・・・さっきも言ったけどよ。協力の件は、保留する。お前も信用してないのも一つだがあいつは、お前の仲間だろ?」
女神は、そっぽを向き明らかに仲間だということがわかってしまった。・・・恐らくだが金髪野郎は、俺たちの監視として迷宮に潜っていたんだろ。そして、暴走して俺に喧嘩を仕掛けたのだろ。こいつも大変だなぁ。
「まぁー一様。・・・というか
「あ?面倒臭い。・・・チッ。わかったよ。憤怒の魔王。サンタ・サタンだ。種族は、悪魔だ。よろしくな。イレギュラー。」
「・・・俺の名は、レギュラーじゃない。怠惰の魔王。レブナント・ベルフェゴールだ。サンタ。よろしくはしたくないがよろしく。」
「あ?」
「
「言ったりだろ。お前たちを信用してない。それに俺は、俺のために迷宮に潜る理由があるんだよ。」
「・・・信用無いか。まぁそうよねぇ会ったばっかだしねぇ。」
「まぁ。俺の邪魔をしなければ協力はするし邪魔をすれば殺す。」
「・・・わかったわ。でもこれだけは協力して、勇者を探して育てて」
「見つけたらなぁ。・・・この姿じゃ無理じゃねえ?」
「そうねぇ。スキル【不死】の権能に【人化】を追加したわ。」
「・・・ありがとう。でさぁ。どうやって下に降りるの?」
「え?飛び降りて?」
何言ってるんだ。こいつ。頭のネジ外れてるのか?。俺は、飛べるが。こいつらは、飛べんぞ。
「そうねぇ。天使たちは、使って下界に下ろしてあげるわ!・・・」
後光で表情は、見てないが多分悪い顔をしている。
そして、俺たちは神殿と浮島をあとにした。
☆
俺たちは、何処かの草原に降ろされた。
天使たちは、猛スピードで天界へと戻っていく。
二つの月と星々に飾られる夜空は、綺麗だった。二つの月をみてさらに確信する。ここは異世界なんだと。
「人化してみるか。それと幽体離脱するか」
青白い炎が俺を包む。
炎が消えると白い肌、白髪、紫色の瞳、細マッチョ。男性で身長は170cmぐらいだろ。顔はモブ顔だった。イケメンじゃなかった。服装は、魔導師みたいな黒いローブ。これで剣を使うのか。この見た目なら杖が似合いそうだなぁ。相変わらずクロキは、頭の上にいるのか。まぁー戻るか。
「へーマスターの人化ってこんな感じなんだねぇ」
ニヤニヤしたユキナは俺の顔を覗いていた。
「マスター。以外と細いですねぇ。私のイメージでは、ムキムキだと思ってました」
ゴブゾは、品定めをするように見ている。
「二人とも。とりあえず。勇者と迷宮探すぞ!」
「了解です。マスター。」
「わかったわ。行きましょう。」
俺、橘悠は過労死してスケルトンになりました。
そして、迷宮でゴブゾ、ユキナ、クロキと出会い。怠惰の魔王となって迷宮を攻略し、女神と憤怒の魔王にも出会う。
俺の願いは死ぬことだ。そのために俺の中にいる元神様の願い「親友を
この世界を旅をしてどっちにつくか。決めないとなぁ。まぁ、ボチボチやっていくか。まだ見ぬ勇者と元神様の親友がいる迷宮を探しの旅が今、始まる。
俺は、まだ知らない。俺という存在がこの世界の運命を握っていることを。
☆
レブナントの心の奥底でレブナントの目を通しては、スキル【魂狩り】の意識体は、虚ろな目で彼の行動を監視している。
「期待してるよ。ボクの勇者。キミがあの子を救うのか。それとも姉さんに協力してあの子の魂を抹消するのか。キミの行動で世界の救済か。それとも世界の崩壊されるのか。ボクはきっとそれでも・・・願うだろ『世界の終わりを』」
意識体は、彼の行動を監視し続けながら闇に飲み込まれそうになっている。
完
スケルトンになりました 白野 シャチ @sirono96
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