第6話 シチリアからの絵葉書


表面には、エトナ山を背景に輝くタオルミーナの劇場跡と青い地中海が広がる写真が。

裏面にはこんなメッセージが書かれている。


--- 親愛なる友へ シチリアからこんにちは!

ここは太陽と海、そして歴史が織りなす本当に特別な場所よ。

昨日の出来事が忘れられなくて、さっそく話したくなったの。 朝、タオルミーナの古代ギリシャ劇場を訪れたんだけど、そこで偶然アマチュア劇団のリハーサルに出くわしたの。

彼らはオペラの一場面を練習していて、広大なステージに声が響き渡っていたの。

その美しい歌声に惹かれてつい見入ってしまったら、なんと劇団の監督が声をかけてきて、「観客役で少し参加してみる?」と言われたの!

もちろん、断る理由なんてないよね!

私は劇の中で観客の一人として座り、指示通りに拍手や歓声を上げたんだけど、舞台の中心で体験するあの瞬間は、本当に夢のようだった。

練習が終わると、俳優たちが笑顔で拍手をくれて、一緒に写真まで撮ったよ。

その後、下の海沿いの町に降りて、カンノーロを食べながら夕陽を眺めたの。

オレンジ色に染まるエトナ山と地中海の景色は、言葉では表せないくらい素晴らしかった。

カンノーロは思ってたよりずっと硬くてカリカリしてて、そう、日本の瓦せんべいを油で揚げた感じだった。

その中にリコッタチーズ。

なのに全然油っぽくないの。

すっかりお気に入りよ、日本でも食べられるところを探さないとね。

次回は絶対一緒にこの劇場で夜のオペラを見たいね。

それでは、また書くね!

シチリアの風とともに


--- 友人への絵葉書には、シチリアでの特別な体験と、美しい景色が温かく綴られていた。

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