花は、食べられない

(勝手ながら「庶民的」な「現実的で強い」ヒロイン、というものには
「花?そんなものお腹の足しにもならないじゃない!」と吐き捨て、渡された花束をキザ男に投げつける……
みたいなイメージがありました。

それはまあ確かに正しいんだろうけど、結局は
「実利になるもの」「役に立つもの」だけが価値がある、って考えではないのか。
と寂しく感じてもきました。

本作のヒロインは「庶民的」な「現実的で強い」であり「花は食べられない」と思う女性です。
ですが、そんな彼女の考えが変わってゆく、自分と異なる考えの持ち主との関わり、が、本作では描かれます。

冗長にならず、平易な文で簡潔に綴られた、読み終えた後に訪れる感情を噛み締めてほしい短編です