第6話:僕は優越感に浸る。

アリエルに完全にいかれてしまった僕。

寝ても冷めても彼女のことばかり。


もう二度とアリエルに会えないかもって思いながら彼女に連絡を取ったら普通に

予約が取れて来てくれた。

そして二時間の間、擬似的僕の彼女でいてくれた。


あんなに彼女が欲しいって思ってたのに・・・本気でアリエルを好きになるなんて

それだけはあっちゃいけななかったのに・・・。


レンタルだぞ・・・なんで好きになった?

でも好きになったものがしょうがない

だけど、こんな気持ちを抱えたままでいたら、頭がおかしくなりそうだよ、いっそ

レンタル辞めるか・・・

やめてそれでアリエルに会えなくて我慢できるのか?


もしこの次、アリエルに連絡取ってスケジュールが合わなかったら、もう

会うのはやめようか・・・みじめになるだけだからそうしようか、そう思った。


でもひとりになるとやっぱり彼女に合わずにいられなくなる。

結局、僕はアリエルから離れられないんだ。


そうやって心にわだかまりを持ったまま悶々とした日々が続いていった。


そんなある日のこと。


「あのさ、アリエル・・・今日はお願いがあるんだけど・・・」


「お願い?・・・あのお泊まりとかエッチいことはできないよ?」


「いや、そう言うことじゃなくて・・・」

「今日、写真部の部室に顔を出さなきゃいけない日なんだけど」

「僕と一緒に来て、みんなの前で僕の彼女だって言って欲しいんだけど」


「レンタル天使は封印してもらって本当の彼女だってみんなの前でアピールして

くれないかな?」


「それってみなさんにウソつくことでしょ?」

「よくないよ・・・そう言うことは・・・」


「分かってるけど僕をバカにしてる連中の鼻を明かしてやりたいんだ」


「バレちゃったらどうするの?」


「大丈夫だよ、君は僕の彼女だって言ってくれたらそれでいいから」


「しょうがないね、いいよ・・・だけど知らないよ、どうなっても」


「ありがとう・・・変なことお願いして・・・」


で、アリエルが僕の無理な頼みを聞いてくれるって言うのでブティックに

彼女を連れて行って彼女の好きな衣装をプレゼントした。

レンタル天使を彼女に持つと、それなりに出費がかさむ。


アリエルにプレゼントした可愛いフリルのワンピースを着てもらって大学の

写真サークルの部室に彼女を連れて行った。

部室には男子二人に女子が三人がすでに顔を出していた。


一人は僕と一番仲のいい「真世仲 礼二まよなか れいじ

二人目は「坂道 登さかみち のぼる

女子の一人は「木具来 貴子きぐらい たかこ

もうひとりは「吉野乃 桜よしの さくら

あとひとりは「見為岳 美子みためだけ よしこ


「あ、みんないたんだ・・・」

「おう、福志・・・今日は来るの遅いんじゃないか?」


最初に声をかけたのは礼二だった。


「うん・・・ちょっとデート」


「デート?・・・デートだって?・・・おまえがデート?誰と?」


登がありえないってふうに言った。


「アリエル・・・こっち」


アリエルは僕の後ろからそっと部室に顔を覗かせ言った。


「こんにちわぁ」


全員、アリエルを見て唖然とした。

登が言ったようにありえない出来事だったからだ。

しかもこんな可愛い子が、こいつの彼女?って思っただろう。


「アリエル・コッタです」


「この子、僕の彼女」


「福志の?・・・あ、どうも・・・よろしく〜アリエルさん」


みんな声をそろえて挨拶した。


その中で礼二だけは、いぶかしく思ったみたいだ。

まあ、ひとりくらいには怪しいって思われてもしかたない。


でも僕は優越感に浸っていた。


僕だって彼女が、恋人がいるんだってことをみんなアピールできたことで。

だけど実は礼二だけじゃなくみんなアリエルが僕の彼女じゃないって疑っていた

みたいだ。


後日、僕は礼二にずばりなことを言われた。


「福志・・・この間のアリエルちゃん?・・・もしかしたらレンタル彼女じゃ

ないか?」


そう言われて返す言葉がなかった。

僕の姑息な考えなんて見透かされてたんだ・・・バカな僕、見栄なんか張って。


「別にさ、福志を攻めてる訳じゃないからな」


「俺も彼女が欲しいって気持ち分かるからさ・・・」

「それよりも、おまえが彼女を連れてきた時、よく彼女レンタルしたなって感心しちゃって・・・お前の性格でそれはないだろうって思ってたからさ」

「いいんじゃないかレンタル彼女でも・・・」


(危ない、危ない・・・酔っ払ってポチったなんて言えないからな)


「サークルのみんなには黙っててやるよ・・・せいぜい楽しめ」


「この大学に無数の男女がいたって世の中に出たら二度と会わない男と女もいる

いるからな・・・レンタルでもお前はアリエルちゃんに巡り会えたんだから」


「なにわともあれ、おまえに彼女ができてよかったよ、レンタル彼女でもな」


レンタル彼女じゃないんだけど・・・レンタル天使なんだけど・・・。


つづく。











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