身寄りのない少女たちを優秀なスパイにするべく教育していた俺、なぜか理想的なパパとして評判になる　～絶対に子育て論とか語ねぇからな！～

グリッツァとユーゲント。
南北の大国は数十年にわたって激しい戦争を繰り広げていたが、ほぼ同時に国のトップが入れ替わり、それと同時に停戦条約が結ばれて早数年――表向きは平和な世界に戻ったと思われているが、その裏では熾烈な情報戦が繰り広げられていた。
グリッツァのスパイとして活動する通称・霧《ミスト》は、新たにアルド・ウォルターズという偽名を国から授かり、極秘のうちにユーゲントへと移り住んである計画を進めていた。
それは後進を育成するため、幼い少女ふたりと「家族」として過ごすというもの。
やがて同僚である魔女ラーエルと夫婦（仮）となり、ふたりの優秀な子どもを一流のスパイにすべく、表向きは普通の家族として暮らし、密かに情報収集も行っていた。
そんな彼を、いつしか人々はこう呼び始める。
『なんて家族思いの理想的なパパなんだ」――と。