虚無のファントム

自分の持っていた自己同一性が無くなって 所詮自分は本物には遠く及ばない偽物なんだと実感する そして世界からも 人々からも 最愛の人からも 俺は必要とされていないということに気付き 我に返った頃には透明な幽霊になっていた きっと俺は何者にも成れないまま死んでいくのだろう


何も無い所から産まれ 何も無い真っ暗な大穴に帰るだけ それだけの話なのに足はすくむし 涙が出てくる もうこの世に未練なんてものは無い筈なのに 何故 こんなことなら愛なんて知らなければ良かったのに そしていつも苛むのはこの幻肢痛だ 頼むから涙と共に 俺の前から消えてくれ

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