第3話:遊郭「寮西香」(りょうさいこう)

金貸しの主人の事件の犯人を追って、恋恋と天翔星君は遊郭に来ていた。

店の門の上に「寮西香りょうさいこう」と大きな看板がかかっていた。


「ここか・・・金貸しの主人のガールフレンドがこの遊郭にいるようなだな」

「一応話だけ聞いてみるか・・・本格的な探りは客が引けた夜になってからだな」


「ここに金貸しの主人の、お目当の遊女がいるんですね」


「のようだな・・・金貸しと懇意だった者の証言では「白小蓮はくしょうれん」と言う遊女らしい」


天翔星君と恋恋は遊郭の暖簾をくぐって店内に入って行った。

女の子を連れて入るところじゃないが、しかたないと天翔は思った。

ひじめて来た遊郭に恋恋は興味津々だった・・・。


「邪魔するぞ」


「いらっしゃいませ・・・まあ、天翔様、お久しぶり」

「なに、なさってたんですか?お店に顔も出さないで」


すかざず恋恋が突っ込んだ。


「天翔様・・・こんな女がわんさかいるような場所に出入りしてるんですか?」

「不潔・・・最低・・・こんな人が私のお師匠様なんて幻滅」


「小恋・・・大人には大人の男には男事情ってものがあるんだ」

「いい歳の男がいつまでも童貞を守っていてもしょうがなかろう?」


「わ〜いやらしい・・・童貞だって」


「なにがイヤらしい・・・小恋だって、いい男ができきた時のために

ちゃんとこう言う店に来て経験しておいたほうがいいぞ」

「知らないかもしれないが遊郭の客は八割が女性だ」


「え?そうなんですか?」


「男性が来る店になんで女性が?」

「彼氏がいない女性は遊女に死について男女の交わりについて、いろいろ

教えてもらうのだよ、小恋」


「へ〜そうなんですな・・・でも私はいいです、興味ないから」

「さおれより優先すべきは金貸しの主人の件です」


「おう、そうだったな」


天翔星君が知っている限りでは遊女の「白小蓮はくしょうれん」がこの

店にはいなかったと思っていたが、侍女の話では「白小蓮はくしょうれん

はこの三ヶ月あまり前に店にやってきたらしいことが分かった。

その三ヶ月あまりで、金貸しの主人をたぶらかしたって訳のようだった。


しかし、侍女からはそれ以上の話は聞けなかった。


「しかたがない・・・小恋・・・今はこれで引き上げるが、夜また

出なおしてこよう・・・夜なら客も引けて探りを入れやすいだろう」


「ここまで出てきたんだ」

「帰りに三之助茶屋によって、汁粉と団子を食って帰るか、小恋」


「いいですね、お師匠様の気まぐれについて行くのも修行のうち」

「どこにでもついていきます」


で、天翔と恋恋は三之助茶屋で汁粉と団子を食って帰った。


つづく。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る