第105話 フルアーマー剣聖さん
先輩をどう探そうかというところで、とても良い解決法がやってきたように思えます。
騎士の中から選りすぐりの物を選んで追跡します。
本来はこういう用途には傭兵たちが持つチェスピースであるポーン級を使うのですがあいにく傭兵は連れていません。契約に時間がかかるものなのです。
今回は特に偵察によったものを使っているので相応には戦果が期待できるはずです。
それにしても随分と失礼な王女でしたが、王族というのは種族を問わずに皆ああなのでしょうか。だとすれば臣下は大変ですね。私も今後については身の振り方を考えたほうが良さそうです。
何もかも面倒になったら先輩を連れて外国に行くのもいいかもしれません。
それとも国盗りでしょうか。先輩に好きに内政させるといえば、案外簡単に話が進むかもしれません。
それにしても先輩、そう先輩です。
女の姿も匂いもそれどころか口説くようなことも全く無い割に、妙に女性に好かれていますね。しかも厄介そうな女性ばかりです。こういうのを女難の相というのでしょう。
まったく……困ったものです。私ががんばるしかないようですね。全部斬ればいいだけですが。
そういえばあのドワーフの王女は結構斬りがいがありそうでした。あれが先輩の言う私だけが切れるものかもしれませんね。
ええまあ。つまりはなんというか、あのドワーフの王女はまったくもって腹立たしい。
は? 許婚? まあ斬ればいいんですが。死んでしまえばどんな肩書も無意味です。
よし殺そう。すぐ殺そう。さっきはちょっと動揺していました。斬れば良いのだですぞ。
今冷静になって考えると学校の制服を着ていたのがいけなかった気がします。ドワーフの王女が着ていたドレスに負けていた感がありました。
まあドレスも斬りましょう。中身ごとばらんばらんです。
私が考え事をしていると執事のセバスチャンが城の差配を終えて追いついてきました。これは少しいい話です。戦う以外の面倒くさいことはセバスチャンに任せればよいのです。ええ。
私はあのドワーフをどう斬るかに集中できます。
「おお、姫様、なんとおいたわしい」
セバスチャンはハンカチで目元を抑えながらいいました。
「なにがおいたわしいのですか?」
「まるで恋敵にこてんぱんにうちのめされたようなお姿ですぞ。髪の毛は乱れ目つきは悪く、あげくにしおれておられます」
「そんなわけがないでしょう」
「ところでおしゃれ着も持ってまいりましたぞ」
「着替えます。メイドたちは?」
「一〇名ほど。髪を専門に扱うものも連れて着ておりますぞ」
「さすが爺ですね」
「ほほほ」
単なる殺し合い、戦闘、戦争なら私は負ける気がしません。しかしそれにかまけて別の戦いへの目配りはあまりできていなかったようです。
「おひいさま、これでいいかがでしょうか」
大鏡を二人がかりで持って私の姿を移します。すっきりとしたマーメードラインのドレス、スパイダーシルクの美しい手袋、足元は新作のサンダル。アンクレットにさりげない宝石、これだ、これだ。
髪の毛も完璧にセットしました。社交シーズンの準備がこのようなところで役に立つとは。
あのドワめ、もはや私が負けるところなどないと知りなさい。
臨時で建てられた着替え用の天幕から出ると居並ぶ騎士がおおうと声を上げました。
「なんとお美しい。しかし今なぜ」
そんな事を言った騎士の一人を爺が咎めています。
「戦装束ですぞ。女性には女性の戦装束があるのです」
爺はいいことをいいました。そうそう。あのド斬り倒してやります。
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