白鳥の詩

久遠恭子

第1話 月を見て宇宙を感じる

月を見て宇宙を感じる

私は星の上に立っているのだという事を

林檎が落ちる重さ

重力で地面に引っ付いているという事を

私は今此処に居るのだという事を

確かに存在している事を認識する


誰に認められなくても良いのだ

此処に存在して心臓が動いている

それだけで奇跡なのだから


小さい頃絵本を沢山読んだ

子供向けの小説も読んだ

SF小説の本の内容は首だけホルマリン漬けみたいに

ずっと生きている老人が語るお話だった

怖かったけどなんだか為になる事を言う老人だった


月旅行は21世紀になったけど実現していない

それでも人は月に得体の知れない魅力を感じる

月夜の晩にボタンが一つ波打ち際に落ちていたと

中原中也は言っているけど

月は人に何かを思ったり

何かを見つけたりさせる力を持っているのかもしれない


私は月を見て宇宙を感じる

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