せつめい
こちらは、『お直し二回目~主に冒頭の修正~』の説明ページです。
さて。大きな手直し二回目となる本作ですが、どこを修正したか、前回の手直し同様に、ざっくりとではありますが、以下に書かせて頂きます。
なお、今回アドバイスを下さったのは、お二人のユーザー様。前回同様、お二人のアドバイスをまとめて記すこと、お許しいただけたら幸いです。
大きな修正点は、今回も4つです。
①冒頭
修正前は
『雑居ビルに囲まれた土砂降りの交差点で、傘をさしているのは僕だけだった。誰一人急ぎ足になるわけでもなく平然と歩みを進めている様子を目の当たりにして、この雨は僕が作り出した幽霊なのだと気付く』
という文面から始まります。
現実的に考えてみれば、どしゃぶりの交差点なのに、渡る前の段階で他の人と自分の行動の違いに気付かないのはおかしい。
なので、以下のように変更しました。
『『もうすぐ着きます』
信号の待ち時間を利用して、僕は無料チャットアプリのトークルームにメッセージを打った。すぐに既読がつき、ピンクの蝶ネクタイをした可愛らしいテディベアのアイコンから、『迎えに行きます』との返信がくる。
二週間ぶりに会える喜びで口元が綻んだ次の瞬間、風で木の葉が一斉に揺れたような音がした。それと同時に、幾筋もの透明な線が、地面に向かって落ちてくる。
雨だ。
持っていたビニール傘を開いた。歩行者用の信号が青に変わったので、雑居ビルに囲まれた交差点を歩き始める。そこで気付いたのだ。傘をさしているのは、僕だけだと。
周囲の人は雨の中だというのに誰一人急ぎ足になるわけでもなく平然と歩みを進めていて、そのうちの幾人かは傘を広げている僕に、奇異な視線を向けてくる。
ああ、またか。』
雨が降り始める少し前から書き始め、信号待ちの時に雨に気付き、傘をさして歩き始める流れにしました。
また、いきなり『雨』とは判断させず、まず音と視覚からの情報を提示し、そこから『雨』に繋げました。
②前半の説明部分を、会話に分散させた。
修正前は、前半部分で幽霊の説明が先行していました。これは私の悪い癖なのですが、どうしても冒頭で、ある程度の説明をしたくなってしまうのです。その方が、「この説明、もう出したっけ?」と気にしながら台詞や事件を書かなくてよくなるので。でもそれでは、小説の引きを弱くしてしまう。
というわけで、前半の説明部分を殆どなくし、後の会話に入れました。
結果、冒頭に余裕ができ、主人公の描写が増えて、キャラクター性がより明確になったと思います。
修正前は、主人公の行動を抑えて周囲の現象に主軸を置いていたのですが、修正後は主人公にスポットライトが当たり、少しアクティブになった印象です。
③幽霊を増やした。
以前頂いていた感想の中に、幽霊の描写をもう少し加えてみては、とのアドバイスもあり、確かに幽霊の描写が少し物足りないかなと思っていました。その時は余裕が無かったので諦めました。今回、②の作業で物語の展開に余裕ができたことで、色の幽霊を一つ足してみました。
主人公の、美優への感情の揺れを視覚化できたのがよかったなと思います。
④オニキスを戻した。
~修正後の本文より抜粋~
『質問とともに、僕をじっと見つめている綺麗な二重瞼が、瞬きを繰り返した。
彼女の瞳は、何もかもを吸い込んでしまいそうな、底なしの暗闇をたたえていて、その神秘的な輝きは、漆黒の極みとも言えるオニキス石に似ている』
一旦消していたオニキスを使った比喩表現を、上記のごとく戻しました。
石言葉、というものを教えて頂きまして。
オニキスの石言葉の一つ『自己防衛』が、主人公の状況とマッチしていて、消すのは勿体ないなと思いました。
主人公は石言葉を気にするタイプではないので、分る人には分る、暗示として使用しております。
以上です。
今回は、殆どが冒頭の修正になりました。
印象が変わりました。
自分一人で書いていただけでは、こんな変化は生み出せなかったと思います。
貴重な体験をさせて頂きました。
ありがとうございます。
頭の中の幽霊 お直しバージョン みかみ @mikamisan
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