第7話

「社長」



低く掠れた声。



神崎さんがこっちへ歩いてくる。



180センチ以上の高身長。


キリッとした切れ長の瞳。


通った鼻梁に、リップでも塗っているかのような赤い唇。


シミ1つない肌はツルツル。


胸元の開いたシャツがなんともセクシーで、目のやり場に困る……。



神崎さんは長い足で一瞬で私達の前へ。



受付で挨拶することはあるけれど、カウンターを挟むから距離がある。


けれど今は結構なる至近距離で……。



いつ見てもカッコいいなぁ。



なんて思いながら先輩を見ると、スンッと受付嬢の顔になってる。



そうか。


私も切り替え



「「お疲れ様です」」



先輩と二人でそう挨拶すると、神崎さんは視線をこっちに向け少しだけ頭を下げた。



人見知り……なんだろうか。


いつもそうだ。



「もう帰るの?」


「はい、さっさと帰ります」


「フフッ。本当に貴方も陣もすぐ家に帰るようになって」


「蒼ちゃんが待ってますからね」



蒼ちゃんー?



えっ!?


まさか同棲!?


神崎さんは同棲をしてるの!?


わー。


蒼ちゃん、そう名前を呼んだ時の声が、表情がとても優しい。


凄く“蒼ちゃん”が好きなのが伝わってくる。



いけない。


これは知ってはならないこと……



「帰るなら、この子も連れて帰って」


「!!??」



社長!?



私の横に来た社長が私の背を押す。



「……え?」



戸惑いの声を上げる神崎さんの眉間に太いシワが刻まれる。



なななな何故、私が神崎さんに連れて帰ってもらうことに!?

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