第4話
それを知ったのは結婚してから。
掃除が大好きでとても綺麗好きな人だなぁって思ってたけど、ただ虫を寄せ付けないためだった。
綺麗にしてれば虫はこない!!と思ってる。
全然くるんだけどね。
いつ何時でも侵入してくるけどね。
初めてあの悲鳴を聞いた時にはビビッた。
どこからそんな声が!?だったね。
私は山育ちだから、虫は全然平気。
小さな蜘蛛にまでビビッている姿にはさすがにドン引きだった。
『とってとってとってとって』
『家の中にいる蜘蛛は益虫なの。他の虫を食べたりしてくれるんだから』
『それでも無理!!とって!!』
『嫌よ』
『桃ちゃーーんっ』
「無駄な殺生はしない!!」
「ぐぅ……。嫌だけどカッコいい……」
こんな感じで。
「ハァ~」
私は雄大をお腹にくっつけたまま上半身を起こす。
重いんですけど。
細マッチョ、重いんですけど。
ゴキ、ゴキっと。
居ない。
そりゃそうだ。
奴とてむざむざと殺られるためにずっとそこには居ないだろう。
こうなるとしばらくは出てこない。
「奴は行方不明だ。ほら、立って」
「やだやだやだっ。殺してくれないと安心でき」
バッチーーンッ!!
「!!??」
全力ビンタ。
「奴らも必死で生きてるんだよ!!」
「桃ちゃ……」
本当にコイツは。
ビンタをされて、呆然と涙目の雄大。
詐欺じゃない!?
漁師としての雄大は最高にカッコいいのに……
船から降りた途端コレって。
いや……どんな雄大でも愛しいんだけどね。
こんな雄大でも可愛いと思ってしまうんだけどね。
でも考えてしまうのよ。
雄大が好きなのは、虫を怖がらない、退治できる私なのかなって。
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