第一章 みんなとの出会い

初めましてこんにちは

私は歴史あるアイドル養成学校、流れ星学園に唯一の女学生として転入する事になった。


高校生なのでプロデューサー活動などした事がないが、色々特殊な人生経験から良いプロデュースが出来るだろう、との判断から学園長より推薦を受け、1年生として編入する事になった。


不安と期待が入り乱れながら、私は学園の門をくぐった。



「初めまして、俺、天野川カズサ!クラスメイトとしてよろしくね」

「よろしく、カズサくん。私の事は好きに呼んで」

「うん、じゃあとりあえず転校生ちゃんで!」


「あ、俺さ、入学間もない頃から仲の良い友達達とユニット組んで活動してるんだ」

「まだまだ新米だけど、皆才能すごくて面白い奴だし、結構売れてるんだよ」


「へー、今度さっそくライブ見せてね」


「うん、もちろん!ユニット名はね、likelihoodって言うの。実際俺達可能性の塊だし!」


「カズサ、次のライブの相談だが」


とても綺麗な顔立ちの、背の高めの紺色の髪の男の子がやって来た。


「あ、みーな。こいつ俺のユニット仲間の御業みなって言うの。俺はみーなって呼んでる」

「ああ、お前が転校生か、よろしく」

「うん、よろしくねみな君」

「こいつ、結構昔からの知り合いなんだけど、昔すごく苦労してたのにいい奴だよ」

「ふーん、そうなんだ。どんな苦労してたの?」


「あー、それが相当しんどくて。みーな、言っていい?」

「ああ、詳細で無ければ構わない」

「うん、じゃあ言うけどさ。みーな、ほぼ産まれた時から相当な障害があって。メールとか以外ほとんど何も出来なかったの」

「…え、そうなんだ。本当に大変だったね」

「ああ、まあ。数年前には正常な肉体が得られたので今は特に気にしていないがな」

「…ある時俺、それを知ってさ。直接お見舞いに行きたいって言ったんだけど、ひどい姿を見られたくないって言われてさ」


「でもやっぱり、会って話したいよってお願いしたら、いる所教えてくれて、早速会いに行ったんだけどさ」


「…本当に、ひどい状態で。俺、悲しくて少し泣いちゃったんだ」


「…あの時は、泣かせてしまって済まなかった」


「…それ以来、もっと仲良しになったんだけどさ。数年後みーなが、普通の体になれた時本当に嬉しかった」

「俺も、本当に嬉しかった。お前と抱き合って普通に話せて、幸せだった」

「うん、だからその日早速、俺達ユニット組んだの」


「へー、すごく素敵だね。みな君、普通に動けるようになって本当に良かったね!」

「ああ、この体をくれた技術と国に、とても感謝している」


「うん、みーな。本当苦労してたのにすごく明るくて優しくてさ。だから俺、みーな大好きなの!」



「…あとさ、俺、普段は超元気で前向きなんだけどさ」


「たまーに突然、何もかもどうでも良くなって、投げ出して全部終わらせたくなっちゃう事があってさ」


「そういう時には即お薬飲んで大人しくするようにしてるんだけど、それでも抑えられない時があってさ」


「そうなっちゃったら、みーながずっと居て、励ましてくれるの」


「ああ、俺がいれば、そういう事は絶対しないからな」


「うん、だから俺、本当宇宙一みーな大好き!」


「…そうなんだ。カズサ君も、しんどいね」



「まあ、そうなんだけどさ。みーな程じゃないし。ここの奴ら、大概かなり何かしんどいし」


「そ、そうなんだ」


「まあこの国の技術すごいし。皆しんどいなりに超元気にやってるから心配しないで!」


「というわけで、これからよろしくね! あ、そうそう。後で学園長室に来てって代行さんが言ってたよ」


「うん、分かった」



昼休み時間。


「こんにちは、呼ばれて来ました」


そこには、物腰柔らかでとても優しそうな美少年がいた。


「来てくれてありがとう。僕はこの学園長の息子の、黒葛原咲夜」


「つつらはらさんですね。よろしくお願いします」


「僕の父親はいわゆる大財閥の人で、政界にも顔が効くんだけどね。僕も年齢の割には聡明だという事で、かなり幼い時からこの学園や政治のお手伝いをさせてもらっているんだ」


「へえ、すごいですね」


「うん。でもさ、僕基本は皆とても幸せになって欲しいと思っているんだけど」



「時々、何もかも奪ってめちゃくちゃに叩き壊したくなる時があるんだよね。まあ、もちろん法に問われない方法でだけどさ」



「滅びの美学っていうのかな。綺麗で美しいものほど、取り返しのつかない状態にしたくなるんだ」

「僕の好きな漫画の作家さんの言葉でね、命は深い闇の中においてこそ光り輝くってのがあるんだけど」


「僕は、そういう者を見るのが、大好きなんだよね」


「そういう訳で転校生さん、これからよろしくね」



「…よ、よろしくお願いします」


彼は慈悲深そうににっこりと微笑んだ。


「どうか君たちの旅路に、溢れんばかりの、呪いと祝福を♪」



かなり前の話



「…ねえお父様。例の、審議中の法案だけどさ」


「うん、異常性癖を持つ犯罪者予備軍や、猟奇的な事件を起こし仮釈放中や出所した人達を更生目的で試験的にこの町で受け入れる計画」


「あれ、まあ確かに賛否両論ではあると思うんだけど、やっぱりやった方が色々な可能性に繋がると思うんだ」


「だからさ。上の人に、掛け合ってみてよ」

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