一輪の迎陽花

ましまる

第1話

 高校一年生のとき、担任から「進路希望調査票」の提出を求められたのがきっかけだった。

 当時の私は、成績は中の上であったものの、容姿は十人並、運動神経皆無、手先不器用というスペック。さらに裕福でない母子家庭の娘ということで、堅実な将来設計を立てなければ上手く社会を渡っていけないと思い、担任や進路指導部の教師に相談を重ねて次のようなライフプランを立ててみたのだ。


――高校卒業後は奨学金を利用して教職課程のある国公立大学に進学し、小学校の教員免許を取得。卒業後は地元の小学校教諭として勤務。実家から職場に通い、奨学金を返済しながら貯金に努める。30歳近くなったら婚活を開始して、定職に就く誠実な男性と結婚し、子供は2人産む予定。育休制度をフル活用して、子どもの乳児期・幼児前期は可能な限り一緒に過ごす。育休期間が明けたら、あとは定年まで小学校教諭の仕事を頑張る。


 我ながら現実的なプランだと思った。ちゃんと頑張れば普通に達成可能だと確信もしていた。

 そして、まずは志望大学への進学に向けてコツコツ勉強に勤しんだのだった。


 それから8年後――

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