第2話 騒ぐ令嬢らをほったらかしにしてお義兄様とパフェを食べに行きました
「えっ、お義兄様。今日はお義兄様の高校の入学式では?」
私は驚いてお義兄様を見つめた。
「ああ、でも、在校生は関係ないからな」
平然と答えてくれたんだけど、ちょっと待って!
「はい? でも、お義兄様は生徒会長で歓迎のあいさつがあったんじゃないの?」
「まあ、副会長がいるからな。それよりも、愛莉の方が大切だろう。母さんは藍の入学式に行ったからな。父さんは来るのは無理だし、愛莉の入学式には俺が来るしかなかったんだ」
「ええええ! そんな私のために入学式をすっ飛ばしてここにいるってこと?」
義理の妹の入学式に出るために生徒会長の仕事をサボってよかったのかよ?
私は頭を抱えたくなった。
「誰、あのイケメン?」
「あの子の兄みたいよ」
「うそ、知り合いになりたいわ」
何故かお義兄様の登場で更に周りの人間が増えたんだけど。確かにお義兄様はイケメンだし、皆が気にするのはわかるけど。
「それよりも愛莉、どうしたんだ?」
「えっ、いや、そちらの方が、私と婚約破棄したいって」
「はああああ! 愛莉、どういうことだ!
お前は俺に隠れて婚約なんてしていたのか?」
「するわけないでしょう!」
激怒するお義兄様に私が反論した。
「本当だな?」
お義兄様が確認してくれるんだけど、私は当然のごとくうなずいたのだ。
「ならばこの男が嘘を言っているということか?」
お義兄様は三田を睨み付けた。
「な、なんだと、俺には芹奈がいるのに、親がそこの愛莉と婚約させようとしていると聞いたのだ。お前の妹が色々画策して俺の両親に取り入るか何かしたんだろうが」
「はああああ! 何故俺たちが貴様の両親に取り入らなければならない。貴様のような三流の家に取り入る必要などないわ」
お義兄様が切れていた。
「き、貴様三田家に喧嘩を売るのか」
「貴様こそ城後家に喧嘩を売るのか」
「えっ、城後って日本二大財閥の城後家じゃないの」
「嘘! あのイケメン、日本二大財閥の一つの城後の御曹司なの」
「凄い、私もお近づきになりたいわ」
「私もよ」
私達はあっという間に、女達に囲まれそうになった。
「そうだ。わが城後家が三田なんて三流財閥の機嫌を取る必要は無いだろう」
「何だと、三流だと、貴様言いたいことをいいおってからに」
「ふん、事実だろうが。何ならやるか?」
けんかっ早いお義兄様はすでに腕まくるしているんだけど。
「いやそれは」
三田は慌てて引いた。
いい判断だと思う。お義兄様は本当に殴ってしまうのだ。いつも本当に、それでとても苦労している。
「良いな、愛莉が貴様の婚約者になることなんて金輪際ない。貴様の横の胸がでかいだけの女も安心するが良い」
「な、何だと」
「ななんですって、胸がでかいだけの女ですって」
二人がキィーーーーーと私達を睨みつけるがお義兄様は全く無視した。
「愛莉、入学式も終わったのならば、『カフェ・ロアール』でいちごパフェでも食うか」
「えっ、本当に!」
私の気分はあっという間に最高潮に達した。
カフェロアールはなかなか高いのだ。
パフェなんて1つ下手したら3千円もする。
でも、値段が高いだけにとても美味しいのだ。でも、私の小遣いでは年に一回食べられるかどうかなのだ。
食べに連れて行ってくれるということはお義兄様の奢りだ。こういう時は躊躇してはいけない!
「行く、すぐに行く」
私はぱっとお義兄様の腕にすがりつくと頷いたのだ。
お義兄様がここにいるのも取り敢えず、カフェ・ロアールの前に忘れることにした。こういう時はお義兄様をヨイショしておくに限るのだ。
まだ、何かブツブツ文句を言っている三田等を放っておいて、私達は学園を出て、カフェ・ロアールに向かった。
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