【続】トイレの花子さんの、お正月!

崔 梨遙(再)

1話完結:1200字

 西園寺華子はかつて、『トイレ〇花子さん』と呼ばれていた。西園寺歌麻呂が小学生の時、華子と出会って美少女の華子に一目惚れ、未来のお嫁さんにしようと華子を自宅に持ち帰った。そこで、花子は華子と改め普通の生活をした。そして、2人は大学を卒業後、歌麻呂が社会人になると結婚した。2人の子宝にも恵まれた。最初は男の子で華麻呂、現在7歳。次に美華、現在4歳。華麻呂は、


「お母さんの実家に行きたい!」


と正月に駄々をこねた。それで、仕方なく家族で小学校の3階トイレに座布団を敷いてくつろぐことになってしまった。


「お母さん、寒いよ」

「あら、歌麻呂、どうしましょう?」

「大丈夫、電気ストーブを持って来たから」

「あら、そんなかさばる物をよく持って来れたわね」

「こういうのは、作者次第でなんとかなるものなんだよ」

「うわー! 暖かい。お母さん、お父さん、暖かいよ。ここ、すごく寒かったし」

「そうよ、ストーブがあれば解決する問題なのよ」

「あ、お母さん。おしっこ」

「どの便器でもいいからしなさい。ここは、おしっこするには便利でしょう?」

「うん、すぐにおしっこ出来るね。あ、お母さん、お腹が痛い。う〇こ、う〇こ」

「どの便器でもいいからしなさい」


「う〇こ終わった。ごめん、めっちゃ臭くなったね」

「大丈夫、まどを開けるから」

「ああ、僕のう〇この臭いが消えていく。良かった。でも、また寒くなった」

「窓を閉めましょう。でも、ここで何をしたらいいのかしら? 歌麻呂、何かアイディアは無い?」

「雑煮でも食べよう。実はカセットコンロと食材も持って来ているんだ」

「まあ、そんなかさばるものをよく持って来れたわね」

「そこは、作者次第でなんとかなるものだよ」

「じゃあ、お雑煮を作るわね」


「うわぁ、お母さん、この雑煮とても美味しいよ。暖まるし」

「華子、鍋でもしようか? 食材はあるから」

「あら、鍋の食材まで持って来てくれたの? そんなかさばるものをよく持って来れたわね」

「そこは作者次第だよ。肉も沢山あるよ」

「じゃあ、すき焼きにしましょうか?」

「いいね」


「お母さん、すき焼き美味しい!」

「そう、良かった」

「でも、お母さんの実家って変わってるね」

「あら、そうかしら」

「だって、トイレだし」

「ほほほほほ、まあ、気にしないで私の実家を楽しみなさい」


 ここで、警備員さんが腰を抜かした。これで、“3階トイレですき焼きを食べてくつろぐトイレの西園寺一家”が、学校の七不思議に追加されるのだが、西園寺一家はそんなことは知らない。


「お母さん、そろそろ家に帰りたい」

「あら、もう少しゆっくりしていてもいいのよ」

「もう帰る! 帰る! 帰りたい!」

「じゃあ、帰りましょうか」


「華麻呂、来年もお母さんの実家に来る? 来てもいいわよ」



「ううん、2度と来たくない。だって、トイレだし、臭いから」







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