超コミュ症少女が送る、年末居残り組の九日間

※読み合い企画からのレビューです

なかばいじめられている超コミュ症の心愛は、年末年始を寮で過ごす「居残り組」となってしまう
心愛を含めてたった四人の居残り組は、最初は不協和音を奏でるが──という導入から始まる本作品は、映画「ホールドオーバーズ」を彷彿とさせる舞台設定からして良作の香りがしていた
まず目についたのは、主人公である心愛のキャラクターだ
まともに会話すらできず、したらしたで思ってもないことを口にしてしまう彼女には、わりと悲惨な境遇であるにも関わらずついつい笑ってしまうコミカルさがある
作者のワードセンスが光ると同時に、暗くなりすぎないような塩梅を心掛けているのだろう
彼女たち四人が徐々に心を通わせ、すこしずつ変わっていくさまは、青春というものを強く感じさせるものだった
ほんの九日間、ほんの四万文字弱の物語だが、読者の心に確実に何かを残す作品だ
是非一読してみてほしい

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