美しい青の物語
- ★★★ Excellent!!!
青い金魚をつくりたい。
そんな言葉で彩られる本作の印象は鮮烈な赤でした。
これほどまでに、情熱的な赤の物語を私は知りません。
青と言ったら冷たい感触をイメージしがちです。
ですが、本作を読んで感じたのは、とても温かな唇の赤でした。
どこか冷たく静謐なイメージの青い物語の中に、赤をイメージさせる鮮烈な感情が漂っている。
その感情は愛であり、怒りであり、悲しみであり、そして嫉妬でもある。
主人公の感情を、青では表現しきれない様々な赤色で感じることができました。
この作品において、ヒロインが持つ色彩のイメージが青だとしたら、主人公を連想させる色は赤だと思います。
どこまでも美しく豊かな青の景色の中に、情熱的な赤がぽつんと存在する。
そんな不思議な印象を抱くことができる幻想的なお話でした。