第8話 楽勝!
その後のゴーレム退治は簡単だった。
《
その後に中の空洞に入り込んで弱点らしいコアを叩けば勝てる。
猫でも出来る簡単なゴーレム討伐方法を編み出したクロークは天才だった。
二体目のゴーレムを倒した後、残ったのは二つの魔石だった。
なんだかこれはご主人曰くお金になるらしい。
ダンジョンの前にある施設で買取が出来るということを天才クロークはしっかり覚えている。
ダンジョン前の施設……自分が猫である以前に、担当の人を気絶させてしまったことを思い出したクロークは魔石を換金することを諦めた。
ゴゴゴと音を立てて動いたのは二体のゴーレムが守っていた扉だった。
その向こうは何の魔法なのか奥を覗くことが出来ず、こちらからは何も見えない。
ゴゴゴと鳴るお腹の音にクロークは空腹を覚えた。
「にゃー……」
おやつ食べたい……
そんなとき、なんだかいい匂いがした気がする。
「にゃ!」
どこだ!
どこからの匂いなのか探し回ると、その匂いの発生源はさっき換金を諦めた魔石からするようだった。
でも魔石かぁ。
どう見ても宝石や石のようにしか見えない、その塊は見た目からは全く食欲をそそられない。
でもスンスン嗅いでみるとチョコのような、果物のような実においしそうな甘い匂いがする……。
お腹すいたし食べちゃえ!
空腹に負けて食べてみると、口の中で綿あめみたいに溶けてしまった。
実に満足。
美味しかった。お腹は満たされなかったものの、美味しいものを食べれたクロークは非常に満足した。
クロークは魔石はおやつ! ということをしっかり記憶した。
何はともあれさっき考えていた、ボスを倒して帰る計画。それを1歩手前のところまできた。
もうゴーレムは二体倒したし、このままの勢いでボス討伐じゃー!
「にゃー!」
行くぞー!
思い切って突撃したその先には、さっきと同じ、でもその表面が鈍色に光っているゴーレムが居た。
今までのマネキンゴーレムとは違い、こちらに気が付いた様子で顔を上げたそのボスゴーレムの目には赤い光がキランと光る。
―ゴォ
音を立てて空を切り迫ってくるその腕に、クロークは余裕を持って避ける。
「にゃにゃ……」
フッ、ざこめ……
初撃を避けてしまえばこちらの物。《
クロークの《闇夜に目あり》の感覚では、ボスのゴーレムも扉の前にいた2体のゴーレムと同じく、体に空洞が出来ているようでクロークの上を腕の空洞を上下している。
きっと今もクロークのことを攻撃しようとして床をゴリゴリ削っている。
普通のゴーレムと変わらないその様子から、同じような攻略ができるはずだと、クロークはゴーレムのその体の方に移動する。
そうすることでクロークの予想通り腕の空洞はゴーレムの体の前を行ったり来たり。
ボスのゴーレムは通常のゴーレムより頑丈なのか、かなり時間がかかったがそれでも体に穴が空いた。
その穴に忍び込むのは黒い色をした子猫のクローク。
「にゃ……にゃん!」
おやつ……いや、家に帰らないと!
本当の目的を思い出したクロークは、急いでゴーレムの体にあったコアを破壊。
黒い霧を残して消えていくゴーレムの体。
霧も晴れたその場に残されたのは、普通のゴーレムより少し大きくなった魔石だけだった。
「にゃ~」
おやつゲット~
口とほぼ同じサイズの魔石を一飲みで食べるクローク。
するとその隣に、突然魔方陣が現れた。
「……っ!」
驚いて喉に魔石を詰まらせたクローク。
バタバタ暴れておえっと吐き気を感じつつ、何とか飲み込んだ。
一分ほどの格闘の後、残ったのは息切れマッハの黒い子猫。
「うにゃー!!」
お前のせいじゃー!!
驚かせてきた魔方陣に報復の全力の《
だけどその手が魔方陣に触れた次の瞬間。クロークはボス部屋から消えていった。
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