第29話
あれから色々と遊んだ訳だが、普段使わない筋肉を動かしたから身体中痛い。
「司くん大丈夫?気分悪いの?」
「いや疲れただけだ…つか明日筋肉痛だな」
「ふっ、だっさ」
「星沢も似たようなもんだろ」
「うるっさい…」
プルプルしてんじゃねえか。
「…まあ中々楽しかった」
「…そうね、すっごい疲れたけど楽しかったし」
「うん、楽しかったね!」
「…なんで芽衣は大丈夫なんだ?」
「ウチ中学はバレーやってたからね」
「芽衣のユニフォーム姿?なによそれあたし見てない」
「落ち着け星沢、もう無理だ」
「そんな、ひどい…」
「…面倒くせえな、じゃあユニフォーム着てくれるよう頼めよ」
「ごめんもう捨てちゃった」
「ほら、どうすんのよ司」
「俺のせいじゃ無いだろうが…」
あんま疲れさすなよ…。
「芽衣は高校じゃ部活動やらんのか」
「うん、やる予定は無いよ。部活動の人間関係疲れちゃって」
「何だ、何かあったのか?」
「うん、ちょっとその…恋愛がらみで色々?」
「…何だ、困りごとなら手を貸すぞ」
「ううん、そういうんじゃなくって…同じ部内で告白されたんだけど、振っちゃったんだよね」
「ああ、男子バレー部員にか。まあ同じ場所で練習してると、振った相手が一緒じゃ色々気まずいか…」
「あー、えっとね、違うの」
「…何がだ?」
「あのね、告白されたのは女の子なの」
「…んー?」
…ああ、そういうのか。
…なんだろう、星沢といい女子にモテるのか?
「司くんはウチの小学校6年の時の格好知ってるよね、中学1年位まではまだあんな感じだったから」
「…あのまま中学に上がったら女子にモテただろうな」
「服装も暫くは男の子っぽい服だったからね」
「何でだ?もう金には困ってなかったんだろ?」
「急に女の子の格好するの、なんか恥ずかしくって…髪もバレーやるのにあんまり伸ばせなかったし」
「なるほどなぁ」
「それもあって、中学の時は色んな女の子に王子様扱いされちゃってたから、追っかけも居たんだよ?」
「芽衣も苦労してんだな」
こう言っちゃ悪いが、こいつがモテる姿が目に浮かぶしな。
「そういう女の子って練習中も理由付けて身体触ってくるし、大変だったんだよ?」
「まじか」
「1年の時はまだ良かったんだけどね、2年に上って上級生が受験で居なくなったら、追っかけの子も暴走しはじめて…練習どころじゃなくなっちゃったから辞めたの」
「なるほどな…」
「それから髪を伸ばして、高校に入ってからは女の子らしく染めるようにしたんだ」
「バレンタインなんか大変だったろ?」
「うん、ほら…ああいう子ってチョコに何入れてるか分からないから。
ウチ食べ物系は全部断ってたんだけど、たまに泣き出す子とか居て参ったよ…」
「そりゃユニフォームも捨てるわな」
「捨てたっていうか燃やしたよ、拾われたら困るから」
「そりゃそうか」
所々共感できる部分があるな。
芽衣と一緒にいて不快にならないのは、こういう所で苦労したからなのかもな。
そしてさっきから星沢瀬令奈が怒りに震えている。
「ぐぎぎぎ…」
「おい落ち着け、奥歯鳴ってんぞ」
「瀬令奈落ち着いて」
「…っは!?ごめんむっちゃキレかかってた」
…こいつにとっちゃ複雑な話だろうに、こうして本気で怒れるのは、いいヤツなんだろうなぁ。
男へのあたりは強いがな。
「芽衣、何かあったらあたしに言って」
「えへへ、今はもう大丈夫だよ?」
「俺も力になるからな」
「あんたに何が出来んのよ」
「いい弁護士を紹介するぞ」
「有能じゃん」
対人トラブルには慣れてるからな。
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