第15話

 そして放課後。


「本当に勉強会やるのか…」

「あんたやる気ない空気全開じゃん」

「どこでやる?ウチの家に来る?」

「いいわね」

「嫌だ、公共の場じゃないと冤罪をかけられたら言い訳出来ない」


 最低でも人の目がある場所がいい、でも女しか居ないような場所は駄目だが。


「あんた前に二人で話した時もそんなだったわね」

「え、瀬令奈?司くんと二人で会ったの?なんで?」

「ちょっと、芽衣、目が座ってるし…」

「ああ、前にマッ◯で話した時な」

「あの時のかぁなぁんだ、あはは…そういえば何話してたの?」

「星沢のプライベートな話だからな、これはお前にも言えない」

「そっか、じゃあ仕方ないね…」

「そんな目で見ても駄目だぞ、俺は口が固い。中学の時『誰にも言わないから』と言われて女子に相談事した次の日、クラス中に言いふらされるイジメをされた事が有るからな」

「…ごめん、もう聞かないよ」

「司、あんたは全く…」


 あれはかなりムカついたな、今でもハラ立つ。


「どうしよう、今の時期だとみんな同じ事考えてるから、図書館もファミレスも埋まっちゃってるよ?」

「カラオケ使うと金掛かんのよね」

「…仕方ねえな、俺んところ使うか」

「え?司くん良いの?」

「あんた一人暮らしなんだっけ?」

「ああ、そんで俺のアパート玄関も中もカメラ付けてあるからな」

「防犯意識高すぎじゃない?」

「中学時代、凪咲達が家まで押しかけた事があったからな」

「面倒な女ね…」


 本当にな。


「流石にそれは向こうが注意されてたけどな」

「ねえ、もしかしてあっちがストーカーなんじゃないかな?」

「世の中はそうは見ないんだよ、だからこそのカメラだ」

「でも、結構お金掛かったんじゃない?」

「うちは愛情は無いが金はあるからな、子供の頃からそうだった」

「笑えないっつーの」

「あはは…」


 無理に笑わなくてもいいんだぞ。


「じゃあ、行くか」

「歩いて行ける距離なの?」

「うん、大丈夫だよ」

「ふーん…」


 晩飯はどうするかな…まあ、こいつら帰ってからコンビニで何か買えばいいか。


 道中、芽衣と星沢の取るに足らない話を聞き流して歩いてると、すぐに俺の住んでるアパートに着いた。


「どうぞ、スリッパとかは無い」

「お邪魔しまーす」

「へぇ、案外綺麗にしてんのね」

「家に帰ってもやることないし、掃除もガキの頃から俺がやってたからな」

「あ、そう…」

「へ、へぇ…」


 何か趣味でもあればいいのかもしれないが。

 それとも部活か?でも男だけの部活とか無いんだよな、野球部でさえ女子マネが居るし。


「まあ、その辺のクッションでも使って適当に座っててくれ。コーヒーで良いか?」

「気が利くじゃん、ありがと」

「普通にクッキーも出すんだ、来客セットって感じだね」

「そりゃお客さんだし出すだろ、前の焼き肉ん時は出さなかったが」

「随分きっちりしてるね?」

「最近は来ないけど、前はよく弁護士の先生とか来てたからな。母親が何か問題起こしたら先生こっちに来るかもしれないし」

「あ、なるほど…」

「はぁ…」

「砂糖とミルクはそこにあるの適当に入れてくれ」

「うんわかった、多めにもらうね」

「あたしはいい、逆に苦いのが飲みたい」


 さて、じゃあ勉強するか。


 そうやって三人で勉強してると、これが思いの外はかどった。


「お前ら俺が思った以上に頭いいな…」

「あんたもね、芽衣はもちろんだけど」

「みんなで教え合うとすごくいいね!」


 最初はなんで女に合わせて勉強しなきゃいけないとか思ったが、甘くみてたな。

 特に芽衣は俺より確実に頭良いし。

 うん、なかなか有意義な学習時間だった。


「そういや司さ」

「なんだよ星沢」

「なんで芽衣だけ名前呼びなわけ?」

「名字知らん」

「…マジで言ってんの?」

「…えっとね、ヒナタだよ?日向 芽衣ひなた めい

「ひなた?名字まで陽キャだなお前」

「あ、やっぱりそういう反応だよね」

「なにが?」

「あんた、本当に失礼よね。凄く可愛い名前だと思わないわけ?」

「お前はちょっと黙ってろよ」

「はぁ?やんの?」

「なんだ?やんのか?」


 ――ピンポーン


 誰だ?こんな時に来客?


「兄さん!ギャルにいじめられてませんか!!」

「心愛じゃないか、なぜ分かったんだ」

「いじめてないし」


 つか、なんで心愛が来た?

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