第7話
「――それで、あたしが物欲しそうに見てたら芽衣ってば『じゃあ半分こしよ!』って言って、それがもう物凄く可愛くて」
「なあ、もう帰っていいか?」
もう2時間は経ったんだが?
しかもこいつ、ほぼ一人で喋ってんだぜ?
何で女ってこうなの?
「友達と話せよ」
「…この話題は、あんたとしか話せないし」
「その付き合った女子以外は、女が好きって知らないのか」
「言ったことない、あんたが初めて」
「面倒くせえ、もういいから告っちまえ」
「いやだし、今言ったら…絶対フラれる」
「なんで断言出来んだよ」
案外いけるんじゃ?
「…はぁ、あんたには分かんないっての」
「まあいいけど、俺もお前の恋愛の責任なんか持ちたくないし」
「そうね、あたしも誰かに頼る気は無いし」
そうだな、こいつ何でも一人でやろうとするし。
徒党を組まずに単身で立ち向かうという姿勢は評価する。
「じゃあ何で俺に色々話すんだよ」
「ただ話したいだけだし?」
「…他に話せないから溜まってたのか」
「たまってるとかいやらしい、やめてよ」
「何いってんだクソ女」
「は?やんの?」
面倒くせ…もう帰りたい。
とか思ってると、こっちに来る中学生ぽい女子と目があった。
あ、あれは…。
「…やっぱり、兄さん」
「…え?
俺より頭一個小さい身長、丸くて小さい顔に円らな瞳、見覚えのある顔。
俺の妹で、一個下の中学三年になる、
そういや、この辺に住んでるんだっけ。
「兄さん、この女なんですか?また変なのに絡まれてるんですか?」
「そうだ」
「そうだじゃないし」
心愛は、持っていたハンバーガーセットごと、俺の隣にぐいぐい割り込んで来た。
いつも俺の隣に座りたがるな、心愛は。
「あの、兄に因縁つけるのやめてもらえます?」
「別にそんな事してないけど…」
「嘘です、あなたみたいなクラスカーストトップに居そうなギャルが、まともな理由で兄と一緒にいるはずありません」
「そんな事ないし」
「いや、そうだぞ」
「司は拗らせんなし」
似たようなもんだろうが。
「じゃあ、兄とはどういう関係なんですか?」
「敵よ」
「ほらやっぱり!」
「俺もう帰っていいか?」
「「駄目よ!」です!」
「えぇ…」
なんか拗れてきたな…。
「…心愛さん?のお兄さんには、ちょっと相談にのってもらっただけだし」
「嘘です、女嫌いで私以外の女性とまともに話したがらない兄が、相談なんて高度なコミュニケーション取れる筈がありません」
「…確かにそうだわ」
「心愛は俺の事を良く分かってるな、えらいぞ」
「えへへ、もちろんです!」
「…あんた妹だと大丈夫なんだ」
妹だからな。
「俺にとっては、唯一の血の繋がった家族だ。半分だけだが」
「ねえ、さらっと爆弾発言やめてくれる?心臓に悪いんだけど」
「何で俺がお前のメンタルに配慮しなきゃいけないんだ?」
「…ちなみに、どっちが違うわけ?」
「父親が違う」
「…芽衣が、あんたと話す時は地雷に気を付けてって言ってたの、こういう事か」
「人の兄を地雷扱いしないでもらえます?あと、その芽衣って方も女性ですか?」
「俺の前の席の女子だ」
「…何で兄さん高校生になったら女性の知り合いばかり増えてるんですか?」
「痛って!腕に爪を立てるな!成り行きだよなりゆき!!」
「心愛ちゃん、めちゃくちゃ可愛いわね」
「星沢はもう帰れよ!」
やばい、妹がガチ百合ギャルに目を付けられた、危険だ。
「そうね、門限近いしあたし帰るわ」
「門限あんのか、ギャルなのに」
「まっすぐ帰ってくださいね、あと兄に近づかないで下さい」
めっちゃ疲れたぞ…。
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