第9話 子猫と義妹と一緒にお風呂

――――【隼人目線】


 放課後、ナターシャに水やりの報告があったので輝美には先に帰ってもらったが、俺の選択は正しかったようだ。


 ザーーーーッ!


 夕方から雨の予報で珍しく天気予報が的中した。


 ナターシャに水やり代を請求すると身体で支払うとか馬鹿なことをのたまっていた。流石、エロゲ! とか突っ込みそうになったがこらえた。


 なるほど、悠一は隼人のセフレ、ナターシャを寝取ったとか『ピュアキス』内でほのめかしていたが、そういうことだったのか……。


 BBAババアとはシたくないとナターシャにはチェンジを要望するとガチ切れしていたけど、切れたいのは朝っぱらメッセージで嫌がらせされた俺の方だ。



 傘を差しながら、足下の悪い帰り道を歩く。これがラブコメなら雨の日は美少女を拾うのがテンプレなのだが、生憎と美少女は落ちていない。


 だが……。


 ミー! ミー! ミー!


 公園の前に差し掛かると鳴き声がしたので、中に入り辺りを見回すと子猫が段ボールに無造作に入れられ、捨てられているようだった。


「おーかわいそうだな。おまえ捨てられたのかよ。うわっ、産まれて立てじゃねえか! どっかに親猫は……まあいねえよなぁ。しゃーねな、ウチ来るか?」


 ミー!


 い奴め!


 うわっ!?


 返事するように鳴いた子猫がかわいくて濡れているにも拘わらず頬ずりしてしまったが、子猫の身体が驚くほど冷たいことに焦る。


 黒い毛並みの子猫で産まれて間もないのか俺の手よりも随分と小さい。おまけにさっきまでミー、ミーと鳴いていたが衰弱してしまって鳴き声もどんどん小さくなる。


 申し訳程度の屋根のあるベンチに場所を移した。

タオルで子猫の小さな小さな身体を包み、水分を拭き取ると……。


 ミー! ミー! ミー!


 まだ目すら開いていないのに俺に感謝でもするかのように子猫は鳴いていた。


 子猫の身体を温めるため、胸ポケットに入れたいがタオルだとかさばってしまう。タオルの代わりにハンカチで包むと、なんか手巻き寿司みたいな見た目になった。


「よし、おまえの名前はテマキな」


 ミー!


 人差し指でテマキの頭を撫でると返事するかのように鳴いていた。


「く~、テマキちゃんはかわいいでちゅね~」


 テマキの愛らしさを前にすると思わず赤ちゃん言葉が出てしまう。こんなところ誰かに見られていたら、恥ずかしくて切腹してしまいそう。



 胸ポケットに慎重にテマキを収め、人にぶつかったりしないよう注意を払いながら、帰宅した。


「兄さんっ!」


 玄関を開けると輝美がリビングから飛び出してきたが、傘があったのにずぶ濡れになった姿を見てびっくりしていた。


 俺もびっくりする。


 リビングから出てきたその姿は嫁輝美と呼ぶに相応しく、制服のままエプロンを着用していたのだ。


 ホンモノJKの制服エプロン!


 俺が脳裏にカメラのように輝美の制服エプロン姿を焼き付けていたら……。


「どうし……」


 ミー! ミー!


 輝美が俺がずぶ濡れになった理由を訊ねようとすると、テマキが鳴いていた。


「もしかして、猫を拾ってきたんですか?」

「ああ、かわいそうでたまらなかったんだ……」


 飼ってやりたいがマンションはペット禁止で、輝美に叱られるかと思ったが……。


「タオルとお風呂の用意をしてきます。兄さんは少しそのままで待っていてください」

「ありがとう、輝美」


 怒るどころか、口角が上がりクスっと笑って輝美はタオルを取りに行ってくれていた。


 濡れた制服を脱衣所に脱ぎ捨て、輝美が沸かしてくれた風呂場へ。


 洗面器にテマキが溺れないようにお湯を入れる。


「本当なら母猫がおまえを舐めて、毛並みを揃えてくれるんだけどな。その分俺がたっぷり甘やかしてやるよ、テマキ」


 嫌がるかと思ったがテマキは暴れることなく、ゆっくりと手足を動かし、むしろ湯加減を楽しんでいるように思えた。お腹にぬるま湯を掛けてやるとミーと鳴くので堪らなくかわいくて仕方ない。


 俺はもうテマキを付っきりで面倒をみるため、お風呂から出たくないとすら思っていたときだった。


「その子、テマキちゃんって言うんですね」

「ああ、ハンカチに包んでやると手巻き寿司みたいだぞ」


 輝美はテマキのことが気になったのか脱衣場へ来て、ドア越しに話し掛けてきていた。


 流石にずっとお風呂に入っていたら、輝美が心配して様子を見にきても無理のないことだ。


「そろそろ俺たちも上がろうか」


 腰を上げると、溺れないように湯船に浮かべた洗面器の中にいたテマキがミーと鳴いたときだった。


「兄さん、私も身体が冷えちゃいました」


 ガラッと風呂場と脱衣場を隔てるドアが音を立てたかと思うと輝美が入ってきたので俺は慌てて、腰を湯船に下ろした。


 あろうことか輝美は胸のトップと股間がギリギリ覆える大きさのタオルだけで大事なところを隠している。


 いくら輝美でも裸ってことなくて、水着くらい着てるよな?


 と思い、ボディサイドにあるはずの紐を確認するが……。


「兄さん、安心してください。履いてませんよ」

「いやっ、輝美! 裸はダメだろ! せめて水着か何か着てきた方が……」

「どうして? 兄さんもテマキちゃんも裸ですよ。私だけ仲間外れにするんですか?」


 輝美が真顔で返してくるので、俺は何も言えなくなる。


 JK義妹と裸で入浴……。


「それに小さいときは一緒に入った仲じゃないですか、いまさら恥ずかしがるなんておかしいですよ」


 なんて言ってる輝美も顔が赤いので、もしかして俺を落とそうとしてきてるんだろうか? いや、そんなことはない。


 輝美はテマキが気になっただけなんだ。俺は自分にそう言い聞かせることにした。

 

「テマキちゃん、凄くかわいい」

「だろ、だろ! こんなにかわいいのに捨てる奴の気がしれねえよ。せめて新しい里親ぐらい頑張って探せよって思ってしまう」


 洗面器に入ったテマキに輝美が指を伸ばすと、テマキは輝美の指にしがみついて、まるでおっぱいを欲しがっているかのように吸いついていた。


「私の乳首じゃ大きすぎるよね?」


 輝美っ!?


 輝美が自身の胸元を見ていることからも冗談で言ってるわけではなさそう。


「あ、うん……たぶん大きいだろうな」

「テマキちゃんの代わりに……お兄ちゃんが飲んでみる?」

「なんで!?」


「お兄ちゃんが輝美のおっぱいを刺激したら、母乳が出るかも……ああん、お、お兄ちゃん……」


 輝美は豊満な乳房をふにふにと俺の前で揉んできていた。


 て、輝美、頼むから言葉と仕草で俺の股間を刺激しないでくれ……。それ以上すけべな仕草をされたら輝美のおっぱいからじゃなく、俺の股間からミルクが吹き出てしまうっ。


 輝美はえっちな仕草を続けているとのぼせてきたのか、何か譫言うわごとを言っているようだった。


「兄さんと私がえっちしたら……かわいい赤ちゃんができちゃうのかな?」


 ミー! ミー! ミー!


 テマキを大事そうに抱えた輝俺はテマキの前脚が気になって仕方なかった。


 お、おまえ……どこに触れてるんだよ。


 猫の本能なんだろうか、テマキは輝美が身体に巻いたバスタオルを剥がそうとじたばた前脚を目が見えないながら動いてしまっていた。


 あ……。


 見えちゃった……。


 モニター越しではなく、義妹である輝美の生おっぱいが……。


 輝美は俺に見られていることに気づいてないのか、ごく自然にバスタオルを直していたけど、お尻に食い込んだ水着を直すのと同じで輝美の仕草がエロ過ぎた……。


「お兄ちゃん、どうしたの?」

「なんでもない、なんでもないんだ……」



 なんとか理性を保ち、輝美に手を出すことなくお風呂から上がる。輝美に手を出そうものなら、俺に破滅が降りかかるかもしれないのだから……。


 冷蔵庫に豆乳が入っていたのでスポイトで吸い上げる。テマキを左手に抱えて、右手で口元に寄せスポイトを押すとテマキが豆乳を吸っていく。


「わあっ、飲んでます」

「良かった! これでひとまずは安心だな」

「今日はまだ降ってるし、明日は学校帰りにスーパーに寄ってスキムミルクを買いましょう」

「そうだな」


 喉などを詰まらせていないか、チェックしているとテマキは眠ってしまった。身体が冷えないようにトレーの上にタオルを敷き詰めてテマキ用のベッドに寝かせたときだ。


 ガタッ!


 ベランダから物を音がしたので、警戒感から輝美に声をかけた。


「お兄ちゃん!」

「輝美はテマキと自分の部屋に入って隠れておいてくれ。俺はベランダを見に行ってくる」

「う、うん……気をつけて」


 俺がベランダへ行くと黒い影が凄い速さで逃げて行った。暗いから見えづらかったが街灯に照らされ、逃げていく何者かの後ろ姿が一瞬だけ見えた。


 あの長くて美しい黒髪はあいつしか思い当たる節がなかった……。


―――――――――あとがき――――――――――

いつもお読み頂き、ありがとうございます!

覗き魔はあの子しかいないですよねw けど悠一の盗撮を非難しておきながら、覗きをしちゃうのはどうかと……。隼人に覗き魔が分からせられちゃう展開をご期待の読者さまはフォロー、ご評価をお願い申し上げます。

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