mission1 パーティに潜入せよ!#1

夜10時。

家の自室で怪盗の衣装に着替えた輝斗はスマホを手に取り、紅羽に連絡した。

「お、既読ついた。行くとするか」

寝ている家族に気づかれないよう、そっと家を抜け出し、走ってパーティ会場へ向かった。

今回、紅羽は変装してパーティに潜入し、輝斗は怪盗としてそのパーティ会場で披露される宝石を盗むことになっている。

『おい、輝斗。おせーぞお前。予告時間は10時30分なのにもう20分だ』

耳につけていたインカムから、パーティ会場にいる紅羽の声が聞こえた。

会場のステージでは、宝石が披露されている。

「分かってるよ。お前こそ変装下手くそなんだからバレないようにしろよ!」

『じゃあちょっくらやらせてもらいますか』

「お前、まさか・・・」

紅羽はズボンのポケットから紅の羽を取り出し、床に落とした。

「何をする気だ!?」

『いやあ、輝斗に任せようと思ったんだけど、自分で盗むわ!』

「嘘だろ?あのポンコツが・・・」


そのとき、パーティ会場の床に落ちた紅の羽を見て、男性が驚いた。

「うわぁ、『ヤツ』が来た!宝石を守れ!」

そして、そばにいた女性がつぶやいた。

くれないの仕業だ。ってことは、紅が来るの!?」

紅というのは、紅羽のスパイとしての名前だ。

「よっしゃ、今だ」

紅羽はマスクをつけて催眠ガスの入った玉を投げ、ステージの方まで走った。

「間にあった」

「!?」

声がしたので後ろを見ると、そこにはマスクをつけた輝斗が立っていた。

「こんなことだろうと思ったよ、ポンコツ」

「うるせえよ。お前こそ大遅刻だな。もう予告時間より20分遅れてるぜ。記念すべき怪盗ジュエリー様初遅刻ってか。新聞の一面に載るなこりゃ」

「・・・。何が記念すべきだ。ケンカしてる場合じゃない。もうすぐ警察がここに到着する」

「オレの場合、捕まったら終わるな」

「なら早く逃げろ」

「その前に宝石っと」

紅羽はステージの方に向かった。

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SPY‼︎ 紅(くれない) The Secret 迷M _りみ @mei_m_rimi

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