眠れない夜

巡る思いが言葉に分解されて

いつの間にか鏡の迷路へ


言葉は鏡に反射して

増殖し響き合い

迷路の中で木霊こだまする


時の流れは

陽炎のように

揺らぐばかりで

遅々として進まない


鏡の森の奥深くに

潜んでいるものを

探しているのは

自分なのか

他人なのか

わからぬまま

かすかな風の音に

誘われて

鏡面の迷路をゆく


風の音はやがて

蒸気オルガンカライアピー

音色となり

いつのまにか

メリーゴーラウンド

を追いかけている


秋の陽の匂いに満ちた

百年前の移動遊園地の

鏡の館を抜け出たら

ほんとうの夢の国で

覚醒するはずだ


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16818792440313040182

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