第2話
夕食を終え、レアは満足げに腹をさすった。まるで我が家のようにリビングのソファーにもたれ、隣に座るエリザベートの肩をたたく。
「最高にデリシャスだったわ!日本ってやっぱり素晴らしい国ね。」
「そうだろう!我が家の誇るモモセの作った料理だからな!」
その言葉にそばに控えていたモモセは頭を下げる。
「光栄ばい。」
「かわいくて礼儀正しくて料理上手なんて、いいメイド捕まえたわねリズ!もう彼女無しじゃやっていけないんじゃない?」
「そうだな。ジュリーなどモモセがいなければこの国じゃ働いてられんと言ってるくらいだぞ。」
「あらあら。ももちーがお嫁に行ったら大変じゃない!」
「も、ももちー?」
ひとしきり笑った後、レアは深呼吸して少し真剣な声色に変え言った。
「じゃあ、本題に移ろうかしら?」
その言葉にエリザベートも目を細める。そしてモモセに言った。
「モモセ。ジュリーを呼んできてくれ。」
「はい。」
そのころジュリーは食器の洗い物をしていた。ジューンはその手伝いである。ジュリーが洗った後、それをジューンが乾いた布でふく。原始的だが、割と高級な器を機械で乾燥させる度胸はなかったのだ。
「それにしても珍しいですね。ジューンさんがメイドらしい仕事をしているなんて。」
「私だって好きでこんなことしていないわ。雑用はあなたの仕事でしょう?愛しのモモセがどうしてもっていうから仕方なくよ。」
「偶にはジューンさんの手料理も食べてみたいものですがね。」
「あら、偶には作ってあげているじゃない。ついに海馬体も腐ったのかしら?」
「いっとくが、スムージーを手料理とは言わせんからな?」
そんな会話をしているとき、モモセがキッチンに入ってきた。
「何ばいちゃついとーと?…ジュリー君、エリザベート様が呼んどーけん来んしゃい。」
「馬鹿なことを言わないでちょうだい。私のいちゃつきたいのはあなたよモモセ。」
「何馬鹿なこつ言いよーと?ジューンちゃんはうちと残りの洗いもんね。こっちが終わったらうちらも行くけん、ジュリー君は先に行っとってね。」
「承知いたしました。」
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