元カノと独占欲
飲みかけの缶ビールを机に置き、僕は肩が触れそうなほど真香先輩に近づいた。
衣類が擦れる音と、ねずみ花火のような炭酸の破裂音だけが部屋中に響き渡る。
恋の熱情で険しく震える心臓をひしひしと感じながら、隣のソファーに座る彼女に向かって、僕は呟いた。
「優しくて
自己欺瞞からあれだけ嫌悪していた言葉は、信じられないほど容易く口を飛び出した。
……人生で初めて能動的に想いを伝えた気がする。
これまでの人生に足りなかったのはこれなのかもしれない。
なんて反実仮想に想いを馳せていると、ガラス細工のように端正で水々しい頬を紅色に染めた真香先輩がこちらを見つめてきた。
「… なんか、少し恥ずかしいかも。でも、嬉しい、、!……君はこんな面倒くさくて重い女でいいの?」
「真香先輩がいいんです!」
「ふふっ、そっか。なら、今日から私が君の最後の女ね?」
真香先輩は上機嫌な様子で、勢いよく僕に抱きついてきた。
彼女の豊かな果実の柔らかさが、これでもかと伝わってくる。
僕が抱き返そうとしたその刹那、携帯電話が騒々しく鳴り響いた。
「元カノさんから?」
「多分、そうだと思います、、お別れ電話した後も数百件の不在着信が来てたので」
「そっか。ならさ、君がもしよかったらなんだけど……私が電話に出ていいかな?君も浮気した元カノと直接話したくないでしょ?」
「せ、先輩にこれ以上甘えることなんて出来ませんよ!」
「……一生くんはもっと私に甘えていいんだよ?これからは一心同体のカップルなんだから。私は君の本音が知りたいし、君の弱音も愛したいな…えへへ」
何が正解で何が間違いかなんて要領の悪い僕にはわからない。
けど、真香先輩となら僕たちなりの正解を見つけられる気がした。
「……お、お願いします」
「ん。おーけー」
僕からスマホを受け取った真香先輩は涼しい顔で、ディスプレイに耳を当てた。
「もしもし〜?」
『あんた誰よ!?』
スピーカーにしていないはずなのに、玲奈の怒号が隣に座っている僕にまで聞こえてきた。
相変わらず恐ろしいやつである。
「一生くんのスマホなのに、知らない女の声でびっくりした?こんばんは、元カノさん。私は一生くんの新しい彼女、よろしくね?」
『はああああ?何言ってるのよ!?そんなの浮気じゃない!』
「浮気じゃないです。昨晩の電話で彼とあなたは赤の他人になりましたよね?…そもそもあれだけのことをしておいて、何で鬼電出来るんですか?」
『あ、あれはただの出来心よ!それに本番はしてないし!』
「はぁ。そういう問題じゃないんだけど。……とにかくあなたが他の男にうつつを抜かしている間に、落ち込んでる彼を私がGETしちゃいました。今後一切、私と一生くんの人生には関わらないでください。じゃないと通報します、では」
真香先輩は冷酷さと嫉妬心が混ざったような声色で、別れの言葉を告げ、問答無用で電話を切った。
「ありがとうございました。先輩に助けてもらってばっかですね。あはは」
「そんなことないよ、私も救われてる。……何はともあれやっと恋人になれたね!」
「は、はい!」
「恋人らしくイチャイチャラブラブしちゃう?」
「な、な!いきなり何を言ってるんですか!?からかわないでください!」
いつもなら慌てた僕の姿を見て、笑っているはずの真香先輩はとろけそうな程に甘い表情を浮かべ、逃がさないぞと言わんばかりに強く抱きついてきた。
愛する彼女の華奢な身体が僕の上半身を覆い尽くす。
真香先輩は目を細めながら、僕の耳元で呟いた。
「……昨日は気持ちよかったね?」
かくして僕の夜はまた始まったのだった。
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カクヨムコンで短編週間2位ありがとうございます
カクヨムコンが終わって、需要があったらまた続きを投稿したいと思います
本当にありがとうございました!
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