第12話

 「はあー。わかってたことだけど、一人で調べるには限界があるよなー」


 あれから一週間後、めぼしい情報も得られず、僕は家の自室の机に突っ伏して独り言を漏らす。あの男子、由良ゆら律希りつき情報を得られないどころか、由良君と仲良く話している場面を何度も目撃して、精神が削られた。


 「これ、一人で調べても情報手に入れられないよな。きっと」


 だからといって、他のことができるだろうか。あと残されていることとしたら、澪さん本人に聞くことだろう。流石にハードル高くないか? いやでも、それ以外方法がない。仕方ないのか。腹を括るしかないのか。メールでも送ろうかな。ってあれ? もしかして澪さんのメアド知らなくないか? これは盲点だったな。こんな大事なことを忘れていたなんて一生の不覚。


 「だとしてもだよなー」


 メアドの交換なんてできるだろうか。なんか不審に思われたりしないかな。怖い、がやらないといけないことだよな。どのタイミングで聞けば不自然じゃないだろう。頭を悩ませる種がまたできてしまった。どうしよーかな。考えているうちに、夜は更けていく。

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