第2話 ステータス・オープン!

 結局、あのメイドを地下の牢獄行きにもツンツルテンメイドにもせずに(愚かなイメージを維持するためだけにそこまでするのはさすがにやりすぎだろう!)食事を終えて自室に戻った俺は、改めて全身が写る大きな鏡で今の自分の姿をまじまじと見てみた。


 美しい紫の髪!


 ほんの少しだけ尖った両耳!


 金色(魔眼)と銀色(聖眼)のオッドアイ!


 どうしても目立つそのあたりに注目してしまいがちだけど、俺って、めちゃくちゃ美少年じゃね?


 これがあと五年経つと、見るも無惨な悪人顔になってしまうなんて本当に勿体ない!


 この美貌は是非とも節制せっせいして維持しなくちゃな!

 

 それには毎日、この大きな鏡で悪人顔になりかけてないか自分自身の外見をチェックしないと! 


 いくら主人公達より強くなっても悪人顔じゃあ、ヒロイン達に逃げられちゃうからな。




 そして、これは絶対にやっておかないといけないやつ!



「ステータス・オープン!」



 おっ!


 主人公やヒロインじゃないから駄目元でやったんだけど、中空にステータスがちゃんと表示されたぞ!


 どれどれ!




【ステータス◆ベルベッチア・ラーグ】


<プレイヤーレベル1>


基本体力:18/20


剣術技量:15


胆力:15


運:1


魔力総量:85/90


火属性魔術:ランクF


水属性魔術:ランクF


氷属性魔術:ランクF


雷属性魔術:ランクF


風属性魔術:ランクF


地属性魔術:ランクF


樹属性魔術:ランクF


闇属性魔術:ランクA




 なんだ、これ?


 いろいろツッコミ所満載だぞ!


 まずレベル1って、10歳になるまで何やってたんだよ!


 七つの大罪のひとつである《怠惰アケディア 》の罪を体現することを運命づけられた生まれながらの怠惰者たいだしゃだと言っても、さすがに怠惰ずきるだろ!


 そんで運が1って、絶望しかないんですけど!


 でも、魔力が90ってかなりレベル1にしては高めだよな!


 それから、なんと言っても光属性以外の主要8属性全てにランク表示がついてるってことは、8属性全ての魔術の適性があるってことか!


 ベルベッチア・ラーグ、マジですげぇじゃねぇか!


 5人の主人公だって適性のある属性魔術は2つか3つだぞ!


 しかも闇属性魔術のランクがAってどういうこと?


 闇属性魔術なんてレアな属性、適性があるだけでもすごいのに一流を意味するランクAってマジでありえない!


 世界最強を意味する

ランクS(A→Aa→AA→AAA→S)までめちゃくちゃ努力すれば持っていけるんじゃねぇの?


 これにさらに魔眼と聖眼まで持ってて努力しないとかありえないだろ!


 運1がやっぱ気になるけど、まあ、あとはかなりいい感じじゃないか?



 えーっと、ステータスに関しては一旦このくらいにして、最大の驚きはこの紫のチョッキのポケットに入ってたスマホだよ! 


 残念ながら充電は完全に切れているけど、間違いなく俺が前世で使っていた機種だ!


 どういうことなんだ、これは?


 前世で使っていたスマホをなんでこの世界に持ち込めたんだ?


 こんなものを持ち込めたということは、俺は転生したのではなく、このベルベッチア・ラーグの体に憑依しているだけなのか?


 いや、憑依しているのだとしても、このスマホの存在は説明できない。


 ただ説明はつかないが、確実に今俺の手には愛用していたスマホがあるのだ。


 これを利用しない手はないだろう。


 でも、充電器はないし、もちろんこのラーグ侯爵城にコンセントなんてものはない。


 魔術でどうにか充電できないものか?


 あと通信も魔術でできるようになれば・・・・・・元の世界の誰かと連絡が取れるかもしれない!


 とにかく、またこの左右にあるチョッキのポケットの右側に入れていつも持ち歩いておかないとな!


 誰かに取られたらアウトだ!


 これは元の世界とこっちの世界とを繋ぐ重要なアイテムなんだから!


 うん! 現状把握はこのくらいでいいか!




 ――ラーグ侯爵夫人殺人事件発生まで、あと48時間52分19秒。



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第2話を最後まで読んでくださり、ありがとうございます!


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作者の何よりのモチベーションになりますので、何卒よろしくお願いいたします

( 〃▽〃)

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