一之瀬護のあやかし徒然

@momota0129

第1話顔

護「道路から顔が突き出てるだって?」

女子高生「そうなんです。鬼のように怒った顔が神社の回りをうろうろと。それも夕方から夜にかけてだけなんですけど怖くてみんな通れないんですよ…なんとかなりませんか?」護「報酬は?」女子高生「焼肉専門店一葉での食べ放題でどうでしょう?」護「よし乗った!」神楽「おい、そんなものに釣られて良いのか?」護のパートナーでもある神楽(白虎の猫又で今は護の肩に乗る位の大きさになっている)が突っ込みをいれた。護「だって神楽、一葉って言ったら和牛専門店だぞ?一回で三万円は下らない高級店だぞ?」神楽「分かった、分かったからよだれを拭け!」現在放浪の旅をしているからか大体に腹が飢えていた。譲「それでその顔は君たちに何か仕掛けてきたりしたのかい?」女子高生「自分からは何もしないでうろうろしているだけだけど、知らなかったおばさまが自転車で顔の上に乗ってしまって足を引きずられたそうなんです。」譲「被害が出たのなら鎮めなきゃね…悪いけどその場所まで案内してくれるかい?」女子高生「はい!」夕刻、その顔が出るという神社の石段に護達はいた。「これで何もなかったら焼肉は無しかぁ…」神楽「報酬ばかりに気を取られるな!ん…?あれは何だ?」女子高生「あっ!あれが例の顔です!」女子高生が指を指す方向に確かに鬼のような顔をしたものが半分突きだしこちらに向かってきていた。譲「君はここまでで良いよ!案内してくれてありがとう!」女子高生「いえ!後は任せました!よろしくお願いします!」彼女は走って顔とは逆方向へ走り出した。譲「さて、じゃあいつもの通り。」神楽「説得からか。」譲「うん、妖しの多くは何か問題を抱えている者が多いからね。おおい、そこの貴方!貴方ですよ!」顔はゆっくり近づいてきた。「若造が何か用か。」譲「僕は一之瀬譲、こっちは神楽といいます。貴方のお名前は?」「儂の名前…玄という。上の名前は忘れた。」譲「貴方は何故そんなところに?」玄「どうして…?どうして…儂はここに…」譲「何か強い願いがあってここへ来られたのではないですか?」玄「そうだ、儂は会社の借金が発覚して再建の祈りを捧げる為にここへ来た。恐ろしく星が綺麗な夜だった。それから儂は帰ろうとして…う…思い出せない…階段を降り…」譲「貴方が思い出せるのはそこまでです。貴方のお名前は一条玄人、とても言いにくいのですが貴方はもう亡くなられてます。」玄「何だと……?」譲「階段から落ちて打ち所が悪くこのまま…、新聞の見出しに載っていました。」玄人「なら儂は何故ここに…」譲「会社を助けたいという想いが残留思念となって貴方をここに食い止めているのだと思います。」玄人「儂はもう死ねんのか?」譲「そういう方々を助けるために僕はここにいます。貴方が望むのなら僕は力を貸します。仰って下さい、どうされたいですか?」玄人「皆の所へ帰りたい…成仏させてくれ!」譲「分かりました、ちなみに痛みはありませんのでご安心ください。東西の神・南北の神・今ここに天へと旅立とうとしている者がいる・白竜を遣わし天へと導きたもう!」すると玄人の周りが光に溢れ何も見えなくなった。光が収まるとその周りには何も残されていなかった。譲「無事に終わったね…気配で静かな妖しだとは思ってたんだけど大事にならなくて良かったよ。」神楽「おい、そこにいるんだろう?」ガササッと音と共に高校生の子が顔を出した。譲「帰りなさいと行ったはずだけど?」高校生「いえ、初めて妖し退治が見れるなんて見逃せるはずがないじゃないですか!」神楽「お前に似ておるの、譲?」譲「えぇ…あっ!そうだ一葉!くれるんだよね!?」高校生「はい、お約束の一葉の食べ放題券!渡すの忘れてたのでとりに行ってました!どうぞ!」譲「神楽!今日は焼肉しゃぶしゃぶすき焼きだぁぁ!」神楽「何もなかったから良いものの今後は妖し退治を見に行こうなんて考えるんじゃない。術師が危うくなることだってあるのだからな。」高校生「はい!」こうして譲と神楽の妖し退治はひとまず終わった。次の妖しはどこへやら…

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