天獄
@ma-pa
プロローグ(1) 相馬結衣(ソウマユイ)
天国とは、誰もが思っているような
「美しく、生前の苦難が癒されるような場所」
ではない。
それは言わば人々の願いや思いが全て詰まった宝箱の様な物である。
...
...
「ただいまー!」
...
いつもであれば弟が出迎えてくれるはずの玄関は静寂に包まれている。
「あれー?はやとー?」
...応答がない
「はやとー隠れてるのー?」
「出てきなさーい!」
...
...やはり応答がない
どこかに隠れているのだろう。
「ガタッ」
リビングから何かが衝突したような音がした。
「リビングの方かなー?バレバレだよー?」
相馬はゆっくりとリビングの方へ向かう。
少し空いているドアの隙間からリビングがチラリと見えた。
一瞬だが、足の様な物が見えた気がする。
相馬は恐る恐るドアを開ける。
...
ギィ
見えた。それが
「!!!」
腰の辺りから大量の血を流した弟が倒れている。
すぐに駆け寄りはやとを揺さぶる。
その時、手に血が付いた。生温かった。
「はやと⁉︎はやと⁉︎どうしたの!?」
薄く弟が目を開け言った。
「姉ちゃ...逃...げ...」
消え入りそうな声だった。
「...逃げ?」
その瞬間。
「ズサッ」
「ぅあ゛ッ」
...ドサッ
相馬はその場に倒れ込む
...背中の辺りが重い
...熱い
...痛い。痛い。痛い。痛い。
...
...視界が暗くなっていくのを感じる
...意識がだんだん遠のいていく
薄れる意識の中で弟を見る
弟は助けを求める様な目で私を見る
「はやと...」
...あれ?
視界が広がってきた
...
...
...ここ...どこ...?
プロローグ 終
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