静かで深い不安と現実を受け入れる難しさ


普通とは違う空気の図書館。不思議な存在感が不安を掻き立てます。司書の冷静で機械的な態度と本の象徴的な存在感が静かに忍び寄る不安そのもの。

主人公が罪を犯した理由は極端ですが、それを読者が完全に否定できない「正論」という暴力、感情の暴走、衝動的な行動──これらは誰しもが持ち得る人間の一面を描いていて喉の詰まるような感情が残ります。

読者に考える余地を多く残す短編です。