白の静寂に包まれて
- ★★★ Excellent!!!
物語は、何気ない日常の温もりから始まり、ゆっくりと不安が忍び寄ってきます。
日記という形で語られる主人公の毎日は、最初は穏やかで、雪を眺める余裕すらあります。
ですがその後、少しずつ世界が変わり、違和感や恐怖がじわじわと広がっていく様子が、徐々に綴られていきます。
音もなく積もる雪とともに、日常が静かに消えていく恐ろしさ。
何もかもが崩れていくのに、叫びも混乱もなく、ただ静かに、確実に遠ざかっていく。
その静けさがかえって怖く、私たちの暮らしがいかに脆いものか、気づかされます。
主人公と家族が迎える静かな時間には、悲しみだけでなく、互いを思いやる優しさもありました。
極限の中でも、誰かと一緒にいることや、これまでの日々への感謝が表れています。
何気ない日常や、身近な人の大切さを、改めて感じます。
白と灰色の世界の物語。
これは、普通の日々のありがたさや人とのつながり、そして自分の弱さを見つめ直すきっかけになる作品かも知れません。