結末まで読んで、背筋が寒くなりました…!(ネタバレなし)

ときに、モキュメンタリータッチで語られていく表題の謎を追って、過去をさかのぼり、現代の渦中に身を置く主人公……

とても怖い作品でした。

どこまでがフィクションで、どこまでが現実なのかわからない、そんな怖さがあります。

謎を追いかけるのはミステリーですが、そこで起こる理不尽さはホラーそのもの……

史実として起こったことに想いを馳せると、単にフィクションとしては見れない警告のようなものも感じます。

全体の文章としては、とても読みやすい作品なのですが、語られていくストーリーにはお話として楽しんでいくだけでは許されないような緊張感があります。

戦時中の禁忌の話も入っていて、バカにできない恐ろしさがありました。

読み終えたあとで感じる、ぼーっとした虚脱感は、ケッチャムの『隣の家の少女』の結末までを読んだときに感じた感覚に似ているかもしれません。

傑作ですが、それだけに中毒性も高く、読んだひとの胸に大きな穴を空けていくような強烈な作品でした。

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