綺麗な月はもう見えない。

「月が綺麗ですね」


そう言った僕に彼女は笑って問いかける。


「君は月に行くための努力をした?ロケットを作ろうとした?月まで階段を積み上げようとした?」


「手を伸ばし続けた…と思う」


答えると彼女が言う。


「君が月に立てたら、綺麗な月は見えないんだよ」


彼女はキスをした。僕も目を閉じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る