第206話

トキノリが部屋に戻ると仲居さんが待機していた。

「ご夕飯の準備が整っていますがどうしますか?」

「他の皆もすぐ上がってくると思うのでお願いします」

「かしこまりました」

仲居さんが一度部屋を出て行きすぐにお膳を持って戻ってくる。

それだけでなく大きなお鍋を持ってテーブルの中央に置く。

「今日はいいお肉が入りましたのでお鍋にしましたが問題ありませんか?」

「はい。それにしてもいい匂いですね」

鍋からは食欲をそそる匂いがしていた。

しばらく待っていると女性陣も戻ってくる。

「トキノリ様。お待たせしました。いい匂いですね」

「今日はお鍋だそうですよ」

「お鍋ですか?定番と言えば定番ですけど本場のお鍋は楽しみですね」

仲居さんがおひつからご飯をよそって配膳してくれる。

それだけでなくバランスよく鍋を配膳してくれた。

「ありがとうございます」

「いえいえ。後はご自分達でなさいますか?」

「そうですね。自分達でやります」

「かしこまりました。それでは、食べ終わった頃にお下げに伺います」

それぞれ席に着いたのを確認してトキノリ達は夕食を食べ始めた。

「このお鍋は絶品ですね」

「そうですね。それに使われている食材もいいですし」

どうやら女性陣も満足のようだ。

トキノリもじっくり味わって食べ進める。

少し多いかな?と思っていた鍋やおひるのご飯も結局全て平らげてしまった。

「ふぅ・・・。美味しかった」

「少し食べすぎました」

「この後はどうします?」

「そうですね。トランプでもどうですか?」

そう言ったのはマリーだ。

手にはいつの間にかトランプを手に持っていた。

「トランプなんてどこから?」

「部屋に置いてありましたよ?」

どうやら旅館のサービスで置いてあったようだ。

「いいですね。どうせなら今日のトキノリ様のお相手も決めてしまいましょう」

「そう言うことなら負けられませんね」

他の女性陣もやる気のようだ。

「自分が勝った場合は?」

トキノリは確認の為に聞いてみる。

「トキノリ様が勝たれた場合は2位の方ということで」

「あっ・・・。はい・・・」

どうやらトキノリは勝っても負けても結果が変わらないようだ。

子供を作るのは責務であるし、次にいつこういった機会がくるかわからないため頑張るしかないようだ。

何度か勝負したのだが勝者はマリーだった。

トキノリはそう言えばマリーはギャンブルに強かったなと思いだす。

「トキノリ様。それではお相手していただけますか?」

「うん・・・。でも、他の皆はどうするの?」

「私達は邪魔しないようにこちらで寝かせていただきます」

そう言うと女性陣はてきぱきと動き寝る準備をすませてしまった。

トキノリはマリーと共に隣の部屋に向かった。

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