第50話 ギルドの受付嬢の有力情報
【シュヴァルク王国】
残りの材料『エンジェスライムの欠片』と『幻神の花』を探す。
全員で歩き回ると効率が悪いと判断した。
①俺、オーロラ、ネクロ
②ルルティア、クレミア
二手に別れることに。
「そっちは頼んだぞ、ルルティア」
「解かった。なにかあれば直ぐにクレミアが連絡する」
どうやら、クレミアには“使い魔”がいるらしい。
緊急時はその使い魔で連絡してくれることになった。
俺たちは冒険者ギルドの方へ。
ルルティアとクレミアは、魔法アカデミーへ向かった。そこには図書館もあるから、本で探せる可能性があるようだ。
ルルティアは錬金術師だし、クレミアも魔術師だから本には目がないし、探す能力も高いだろう。
「二人とも楽しそうでしたね」
「そうだな、オーロラ。あの二人は読書家だからな」
きっと情報を見つけ出してくれるはず。
「冒険者ギルドってどこにある~?」
ネクロが俺の服を引っ張る。
「ここから少し歩いたところさ。ネクロにとっては新鮮なものばかりだろうな」
「うん、帝国みたい!」
シュヴァルク王国も、ラグナゼオン帝国に負けず劣らずの規模。ただ、有能な人材が大体帝国へ流出してしまった。
やはり、みんな最後には帝国へ行きたいのだろうな。
女神の結界もあるし。
少し歩き『冒険者ギルド』に到着。
「あの~、エルドさん」
「ん? どうした、オーロラ」
「冒険者ギルドってどんなところですか?」
「そうか、オーロラは利用したことないんだな」
「はい。ずっと教会で暮らしていたもので」
「簡単に言えば、冒険者の拠点かな」
「拠点、ですか」
「ああ。クエストを受けたり、アイテムを預けたり……大金を払えばダンジョンへ転送してもらえたりなど割となんでも出来る」
「凄いですね!」
全サービスを受けるには、VIP会員になったりする必要もあるけどね。今流行りの
そんなことをオーロラとネクロに説明しながらも中へ。
さすが王国だけあり、多くの冒険でごった返していた。
受付嬢は忙しなく受付をしていた。
長蛇の列だなぁ、並ぶしかないな。
しばらく列に並び、ようやく俺の番がきた。ここまでかなりの時間を要した。
受付嬢は、黒髪の若いお姉さんだ。
「ご利用ありがとうございます。どのようなご用件でしょうか?」
「今、アイテム収集をしているんだ。情報が欲しい」
「解かりました。アイテム名をお伺いいたします」
「エンジェスライムの欠片と幻神の花だ」
「少々お待ちください」
ぺこりと丁寧にお辞儀するギルドの受付嬢さんは、受付嬢専用の分厚い魔導書に魔力をこめていた。なるほど、そこから情報を得ているのか。
「解かりました」
「本当か!」
「ただし、エンジェスライムの欠片の方だけです」
「それでも構わない」
「情報料として十万ブルいただきます」
「「「じゅ、じゅうまん!?」」」
俺もオーロラも、ネクロの声すら被った。情報料高すぎだろう。
「なんでそんな高いんだ?」
「S級情報につき、高額になってしまうのです。情報にも価値がございますから」
ちなみに、B級以下ならほぼタダらしい。情報にランクがあったとは……。
仕方ない、俺のヘソクリから拠出するか。
先へ進むためだ、仕方ない。
懐からブルを取り出し、俺は十万を支払った。
「これでいいか」
「ありがとうございます。では、お教えいたします」
どうやら、他の冒険者に情報が漏れないよう紙でくれるようだ。
しばらく待つと情報の記された紙を渡された。
この中に『エンジェスライムの欠片』の情報が!
いったん冒険者ギルドを離れ、適当なベンチに座ってそこで中身を確認した。
[エンジェスライムの欠片の情報]
[詳細]
シュヴァルク王国領:砂漠地帯に稀にエンジェスライムが出現する。討伐後、低確率でドロップする。
出現予想座標:398,256
なるほど、この場所へ向かえばモンスター『エンジェスライム』と会えるわけだ。そして、そのモンスターを倒してドロップすると。
「オーロラ、これで判明したぞ!」
「ついにですね。ルルティアさんたちの方はまだ連絡はありませんから、先に砂漠へ向かいます?」
「そうだな。向こうは時間が掛かるはずだ」
時間もまだあるし、それに砂漠は直ぐそこだ。
ただし、出現予想座標まではなかなか遠い。
徒歩ではちょっとキツいかもしれないが、こっちにはネクロのブラックドラゴンがいる。日が暮れるまでには何体か出会えるはずだ。
まず、砂漠で狩りをする冒険者は少ない。
だからきっと出会えるはず。
俺はネクロに指示を出し、外でブラックドラゴンを出してもらった。
さっそく砂漠地帯で飛んで『エンジェスライム』を探し出す!!
「勇者さま、モンスターサーチなら任せて!」
「ネクロ、そんなことができるのか?」
「うん。なんか出来る気がするの」
やはり魔王の力なのか。
しかし、これまで一緒に過ごしてきて暴走することもなければ、人を傷つけることもなかった。だから、このネクロヴァスは魔王とは少し違うのだ。
俺はそう信じたい。
「やってくれ」
「うん!」
ネクロは
「ネクロちゃん、すごい魔力ですね……」
「うむ。大丈夫だ。きっと人類の為にがんばってくれる」
「そうですね。このコは魔王ではありませんから」
オーロラもそう思ってくれているようだ。
しばらくすると、ネクロはブラックドラゴンに命令を下し、方向を変えた。。
「そっちにいるのか、ネクロ」
「気配を察知した」
「解かるのかよ」
「うん、解かった」
急行するドラゴンは、やがて砂漠地帯のかなり奥で旋回を始めた。
到着らしい。
「降りないのか?」
「エンジェスライムはかなり危険みたい。ブラックスライムが怯えている」
「そんなに……」
「みたい」
ならば、仕方ない。
俺ひとりで戦うしかないようだな。
立ち上がり、ブラックドラゴンから飛び降りる俺。
「エルドさん!」
「大丈夫だ。俺を信じてくれ、オーロラ!」
「……はいっ。信じております」
落下して俺は砂漠に足をつけた。
――いや、腰半分まで埋まった。
こうなるか……!
そんな間にもモンスターの気配が。
『ポヨポヨポヨ…………』
なにか跳ねるような音が。しかも複数するじゃないか……なんだ?
振り向くと、そこには白い天使の羽根を生やした巨大なスライムが出現。しかも、レッドやブルー、イエロースライムなど複数の取り巻きを連れていた。
こ、こりゃあ!?
[エンジェスライム]
[モンスター情報]
天使型スライム。
このスライムは、レッド・ブルー・イエロースライムを最大三十体まで取り巻きにする。
聖属性魔法ホーリーアローを使う。
「く、くそ!」
早く抜け出さないと
こうなったら風属性攻撃『テンペスト』で――!
嵐を起こし、砂を払った。
ついでにエンジェスライムもその場に留まった。一時的だが俺は襲われなくなった。
地面からなんとか脱出して、俺は改めて聖剣アルビオンを抜いた。
『……ポヨポヨポヨ』
エンジェスライムが再び俺を捕捉する。
あれを倒せばいいんだろ!
やってやるッ!!
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