ぷらんしーでぃー
第12話
いつの間に寝落ちしていたらしい。時間を確認するために手に取ったスマホ。通知が来ていたけど送られてきた時間は数時間も前だった。
つーか、あいつどこ行きやがった。
ぷ ら ん し ー で ぃ ー
つーか何だこれ。こんなん来てたのに気付かなかったのかよ。
聖夜から何時間も前に送られてきた動画を見れば、クリスマスにどこに行くか話し合っている舜と壬黎の姿がおさめられている。
あいつ、仕事だって言ってたよな?どこが仕事だよ。そもそもどこ行きやがった。
寝起きの気だるい身体に鞭を打ち立ち上がり仮眠室を出れば、すぐ見つかるその姿。
「何で丸まってソファーで寝てんだよ…」
私物のブランケットに包まり寝ている壬黎の姿。疲れていたのかそれとも警戒していないのか。いつもなら少し近寄っただけでも目を開けるのに珍しく起きる気配がねェ。
ついこの間風邪ひいたばかりなのに何でこんなとこ寝てんだよ。
そっと抱えても起きる気配は微塵もない。本当珍しいな。
仮眠室に戻りまた起こさないようにゆっくり降ろし、自分もその横に身を捻じ込めばひんやりと冷えている身体。
また風邪引かれても困るなんて言い訳をしぴたりと身を寄せまた眠りについた。
「…で、何だあの動画」
「あ、やっと見た?」
「…舜!」
「げ、何だよ。白夜が大声で呼んでくんなんて嫌な予感しかねェ」
次の日、聖夜の部屋に本人を押し込め更にドアから顔を突き出し舜を呼びつける。こいつらには聞きてェ事が山ほどある。
これ、なんだよ。画面を舜の顔面の近くに突き出せば、面白ェぐらいに顔を青ざめさせた。
「こ、これはー…そのー、な?」
「説明」
「…壬黎と出かけようとしてました、すいませんでした」
「つーか、彼氏でもないのに一丁前すぎません?」
「てめェは黙ってろクリスマス野郎」
「次それ言ったらあんたもぶっ飛ばしますよ。つーか壬黎さんと同じこと言わないでください」
それはそれでムカつきます。そう真顔で言われ口角が上がる。ざまァ。
俺はその倍以上にムカついてるけどな。何でクリスマスにあいつは舜と出かけようとしてんだよ。
「じゃあもう白夜が行けばいいじゃねェかよ」
「入れ替わればいいじゃないっすか」
「名付けてプランKDだ!」
「…なんだそのよくわかんねェ挙句だっせェネーミング」
クリスマスデートの略だ!胸を張りそう言う舜に思わず顔を手で覆った。
聖夜を見てみろ半目になってんぞ。呆れて物も言えねェ。
「もう少し英語の勉強しろ」
「え、なんで?クリスマス、デートだろ?」
「救いようがねェ」
クリスマスならCだろうが。いや、つーかそういう問題じゃねェ。
何で?未だに理解していない舜。こいつよく赤点回避したな。
「普通に行くのやめりゃいいだろうが」
「壬黎さん意外とノリノリでしたよ」
「行くしかねェよ白夜。任せろ!見所は調べた!」
「そこ行ったことあるから別に困ってねェけど」
「…それ口が裂けても壬黎の前で言わねェ方が身のためだぞ?また見向きされないぞ?それどころかへェって言われて終わる…いってェな!何すんだよ!」
舜の顔面を鷲掴む。それは既に水族館で経験済みだからわかってんだよ。
あいつに遠回しに匂わせても何も意味ねェのは理解してる。
「まあまあ、白夜さん。ここなんかは最近出来たばっかりですし。ね?」
「これ事前チケットあんのか」
「買う気満々じゃねェかよ…」
「文句あんのか」
あいつ好きだろ、こういうの。見せられたインターネットページを指差せば、声を揃えて阿吽と言われる。
関係ねェよなそれ。
知らなかったとつぶやく聖夜に鼻で笑えば凄ェ顔を向けられた。あいつと何年の付き合いだと思ってんだよ。
「でも意外だなー、壬黎あまりこういうの興味なさそうじゃん」
「進んでは行かねェよ」
「じゃ、いい機会って事で白夜さんは事前チケット買ってきてくださいねー」
もう明後日ですから。そう言われて日付を思い出す。
24日12時。駅前だからな!次いで舜に言われる。駅前って、かなり大雑把じゃね。
「当日まで壬黎に黙っておけよ」
「「任せなさーい!」」
「…心配になってきた」
どっちか口滑らせんじゃねェか、これ。
舜はうっかり喋り、聖夜は少しの言動で気付かれそうだ。
「あ、舜さん暇だったらバイト手伝ってもらっていいっすか?」
「お、俺のクリスマスプラン!」
「そんなもんあるわけないじゃないっすかァ」
(壬黎喫煙所だってよ!)
(…お待たせ)
(え…舜は?)
(行くぞ、デート)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます