15話 絞り込み選択
私たちは次の日の昼休み、ご飯を食べながら部室で過ごしていた。
「なるほど。クラスメイトってこういう奴なんだな」
辻はクラスの集合写真と名簿を見ながら言った。そのセリフ、本来なら新学期に聞くやつ。
「すぐ覚えられそう?」
「おう」
私が聞くと、彼は平然として言った。すげえ。私、結構かかったな。中々、顔と名前が一致しないんだよな。
「そいえば、辻くんは恋バナとかないの?」
米屋が聞くと、辻は首を横に振った。
「昔から学校にも碌に行かなかったし、それに、あんま人と関わってこなかったから、恋人は疎か、友達すらもいなかった」
「そ、そうか」
米屋は気まずそうに返事した。あ、明るい話しよーぜ!
「でも学校あんま来ないのに、どうやってあんなに勉強できるの?塾とか?」
南が聞くと、辻は淡々と答えた。
「大した理由はないよ。ホラーにハマる前は、趣味もないし、特技もないからとりあえず勉強だけしてて、それで勉強の仕方が身についたというか」
「でも、そこで勉強しようってなるのがすごいよー。私だったら絶対遊びまくっちゃうもん」
南と米屋もうんうんと頷いた。
「でも最近は学校来て授業受けてるから、さらに成績上がるかもね」
私は期待を込めて言った。
「だといいけどねー」
辻はのんびりとした口調で言うと、急に何かを思い出したように、さらに言った。
「あ、ところで、どのクラスメイトにアタックするか、大体でいいから決めとく?」
辻が提案すると、私たちは同意した。
「そうだね。条件として、まず彼女持ちは除外するね」
そう言って、南は名簿の中からそれに当てはまる人の名前を次々と消していった。ここで、5人の名前が消えた。あと残り12人か。
「元カノが同じ学校にいる奴はなんとなくやめとこうぜ。こないだみたいなことは起きないとは思うけど、一応念のため」
米屋が言うと、さらに5人の名前が消えた。あと残り7人。
「まあ、あとは俺と米屋くんを除外しようか」
辻は辻自身と米屋の名前を消した。残り5人となった。
「本人はなんかある?」
辻が言うと、私はあと残り5人の男子を見ながら考えた。
「私は特にないかな」
「そうか。俺もない。他は?」
南と米屋もなかった。
「そっか。じゃあ、この5人に絞ろうか」
私たちは賛成した。辻は例のノートに記録をした。その最中、鐘がなった。私たちははっとして、時計を見た。
「予鈴じゃん」
南は言った。そして、すぐ残りの卵焼きを口の中に押し込んだ。
「やばい!」
計画に夢中になってて忘れてたよ。私たちは急いで身の回りの物を片付けて、部室を出た。授業には、なんとか間に合った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます