第8話 オーク討伐 2

 オークの集落の近くの茂みまでやってきた。


 「とりあえず、アリシアとサーラ様は弓と魔法で遠距離攻撃をして、できるだけオークの数を減らしてくれ」


 「はい」


 「わかりました」


 そうしてアリシアは弓を構え、サーラ様は魔法を放つ体勢に入る。


 「ギルバード、お前はすぐに戦いに行けるよう準備をしておいてくれ」


 「おう、任せろ」


 ギルバードは背負っていた大きな盾を手に取り、準備を整える。


 そして、俺も鞘から片手剣を出し、戦う準備を整えた。


 「じゃあ、二人は同時に矢と魔法を放ってくれ。そのあとに俺とギルバードが前に出てオークを片付ける。矢と魔法を放った後、二人は俺たちの援護に回ってくれ」


 「おう」


 「了解です」


 「わかりました」


 「じゃあ、矢と魔法を頼む」


 「「はい」」


 オークにばれぬよう静かな声を発したアリシアとサーラは、オークに向かって攻撃をする。


 「......はっ」


 「風刃ウィンドカッター


 アリシアは同時に二本の矢を打ち、サーラ様は三つの風の刃をオークに向かって飛ばす。


 矢は二体のオークの脳天を貫き、風の刃は三体のオークの首を刎ねる。


 いきなり何者かに攻撃されたことに動揺しているオークを見て、俺はギルバードとともに茂みから出る。


 「よしっ、行くぞ!」


 「おう!」


 そしてギルバードは俺の前に出た。


 「うおぉぉぉ!」


 そして、ギルバードは大声を出しオークたちの注意を引く。


 「ぐをぉぉぉぉ!」


 混乱していたオークたちはギークの叫び声を聞くなり、何も考えずにギークの方へ向かってきた。


 「ふんっ!」


 オークたちの攻撃を、ギークは盾一つで受け止める。


 その間に俺はギルバードの後ろから出る。そして、ギルバードが止めているオークたちを斬っていく。


 「がぁぁぁぁ」


 (まずい、後ろから他のオークが!)


 ヒュンッ!


 すると、矢がオークの体を貫く。オークの動きが一瞬止まった。


 その間に、俺は剣で後ろのオークの体を切り裂く。


 「助かった、アリシア!」


 タンクのギルバードが敵の動きを止め、それを俺が倒し、アリシアが弓、遠距離攻撃でサポートする。それが俺たちの基本となる戦い方だ。


 「ギルバード、まだ耐えられそうか?」


 「ああ、大丈夫だ!」


 俺はまたオークを倒していく。あと十体弱、ギルバードが止めている三体を優先して斬っていく。


 それを見て、俺の方にやってくるオークたち。


 「うおおぉぉぉ!」


 ギルバードが前に大きく動き、そのオークたちの注意を引き付ける。


 「ぐがぁぁぁぁ!」


 まんまとギルバードの方に向かってくるオークたち。持っているこん棒でギルバードに攻撃をするが、大きく強固な盾で防がれてしまう。


 「ふんっ!」


 「風刃ウィンドカッター!」


 ヒュンッ!


 その間に俺たちはオークたちに一斉に攻撃をする。


 「助かった、アリシアとサーラ様!」


 残りは三体。そのうち二体はギルバードが止めている。


 俺はそれらを斬り、残り一体。


 しかし、そのオークはアリシアとサーラ様に気が付いたのか、向かっていく。


 「風刃ウィンドカッター!」


 サーラ様はそれに冷静に対処して、魔法を放った。


 そして、最後のオークの首が落ちた。



 「それじゃあ、ギルドに戻ってこの村のことを報告するぞ。サーラ様もそれでいいですか?」


 「はい、大丈夫です」


 サーラ様の了承も取ったので、来た道を戻ってギルドへ行く。



 ◇◇◇◇◇◇



 一時間ほどかけて、ギルドへ戻ってきた。


 「おや、今日はサーラ様も一緒にギルドに来たんですね」


 ギルドに来ると、ギルマスが階段を降りているところだった。


 「ああ、一つ報告したいことがあるんだが、良いか?」


 「はい、構いませんよ。ここで話していただいていいですよ」


 「それじゃあ、遠慮なく。森の奥の方にある小さな村がオークに占領されていた。そのオークたちは俺たちが倒したので問題はないが、村人はおそらく......」


 「そうですか......村の名前はわかりますか?」


 ギルマスが質問をしてくる。


 「いや、村の名前は知らないな......」


 「確か、ラト村という名前だったと思いますよー」


 サーラ様が横から教えてくれた。というか、よく知っているな。


 「教えていただきありがとうございます。明日にはほかのものを調査に向かわせますので、あとは任せてくださいね」


 「ああ、わかった」


 報告を終えた俺たちは、ギルドを出る。


 「じゃあ、私は帰りますねー。今日もありがとうございましたー」


 昨日と同じように大きく手を振って屋敷へと戻るサーラ様。


 「今日は何か冒険者らしいことをさせたることができたな!」


 「そうですね。最後オークが向かって来た時に、サーラ様が焦らず対処できたことには少し驚きました!」


 「今日改めてサーラ様が強いってことがわかったよ。魔法でオークの首を一刀両断したんだからな」


 それも三体同時に。


 「とりあえず、今日もここで解散とするか」


 「そうですね、私もお腹が空きました。早く宿に戻って夕食を食べなければ!」


 「俺は酒場で一杯やりたいな!」


 「じゃあ、そういうことで、解散!」


 「はい!」


 「おう!」


 そうして、俺たちはその場を後にした。

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Bランク冒険者パーティーのリーダーだった俺が、なぜか貴族のお嬢様ともパーティーを組むことになったのだが!? 啄木鳥 @syou0917

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