謎が謎を呼ぶハイファンタジー。炎の瞳の先に見える未来とは?


第一章までのレビューとなります。

まず目を引くのが、キャラクターたちのステータスと関係性です。これらの設定が上手く相互に及ぼし合い、物語に躍動感を与え、楽しみながら読めるのが本作の強みと言えそうです。

主人公で薬師のエルナ。ウェーブを描く赤髪に炎のような瞳を持つ彼女の異名は『炎帝の魔女』。
国王なのに十ヶ月も引きこもりのオルリア。パールグレイの長髪でディープレッドの瞳を持つ彼の異名は『狼王』。

両者とも人間の風貌でありながら中身は異能ともいえる秘密を宿している設定が非常に興味深いです。
オルリアは王宮の庭に現れた異形の狼に噛まれ狼王となるのですが、血の匂いに身体が疼いて仕方がありません。定期的な周期でバケモノに変わる身体とエルナに襲いかかる衝動にハラハラします。

エルナの幼馴染で彼女に好意を寄せるタングリーは好青年でありながらどこか勿体無い性格。そばで寝ていた彼にとって、エルナとオルリアの夜中の行動が気になって仕方がないというから困ったものです。
エルナ・オルリア・タングリーの三角関係は見逃せませんね。

アイリスクォーツと呼ばれる七つの精霊が集まってできた水晶。魔力を宿した者が未来を予知できる代物を前に、オルリアの残酷な末路が描かれてしまうというのです。

果たして……これから一体どうなってしまうのか?
エルナの調合する薬でオルリアの異能を治すことはできるのか?
そしてエルナの魔女としての所以は?

序盤は謎の多い展開ですが、徐々に花開いていく展開から目が離せません。

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