第2話 影が宿る時計

東京の夜。

西条財閥ギャラリーの中に展示された19世紀の名品、「静寂の時計」。その華麗な装飾と静止した針は、人々を魅了し続けている。しかし、誰も知らない――この時計が過去の罪を封じ込めた「鍵」であることを。


「お前たちに託す、この時計を動かすのは――。」

失踪した父、神崎譲(ゆずる)が遺した言葉。シャドウ三姉妹にとって、この時計は単なる美術品ではなく、父が残した最後の手がかりだ。


そして今夜、三姉妹は「静寂の時計」を奪うため、東京の静寂を引き裂こうとしていた。

彼女たちはまだ知らない。この時計が、新たな影を呼び寄せることを――。


◆◇◆◇


東京・西条財閥ギャラリー 夜23時


東京のネオンが反射するガラス張りの建物。その内部に滑り込むようにして、一つの影が非常口を開けた。


「よし、侵入開始。」

低い声で囁いたのは次女・奈央(なお)。彼女の耳には、長女・玲(れい)の冷静な声がイヤホン越しに響く。


「奈央、監視カメラの死角を確認して。左の廊下は8秒間だけカメラが動かない。」

玲が操作するタブレットには、ギャラリー内部の監視カメラ映像がリアルタイムで映し出されている。


「了解、玲姉。まかせて!」

奈央は軽く身体を伸ばし、柔らかな動きで廊下を進んだ。足音を立てないように慎重に動きながら、影のように死角を抜けていく。


「死角ねえ……玲姉こそ、たまには現場で動いてみたら?」

「私が動いたら、計画が破綻するでしょ。」玲が冷たく返す。


「まあまあ。玲姉は頭脳担当、奈央姉は筋肉担当、私は天才担当だからバランス取れてるよね~。」

イヤホン越しに聞こえるのは三女・美咲(みさき)の声。彼女はカフェの隅に座り、ノートパソコンを叩きながら、ギャラリーのセキュリティシステムを監視している。


「天才担当って……自己評価高すぎじゃない?」奈央が小声で笑う。

「だって私がハッキングしてなかったら、奈央姉は入口のロックすら開けられないでしょ?」

「そりゃそうだけど……。玲姉、なんで末っ子にここまで言わせるの?」

「はいはい、無駄話しないで進んで。」玲が軽くため息をつく。


数分後、奈央はギャラリーの奥にある特別展示室に到達した。扉越しに、狙いである「静寂の時計」がスポットライトに照らされているのが見える。


「到着。例の時計、あれだよね。」

「その通り。注意して進んで。周囲にレーザーセンサーが張り巡らされてる。」玲が画面を確認しながら言う。


奈央はポケットから小型のセンサーを取り出し、レーザーの動きを確認する。美咲がデータを送りながら軽い声で言う。

「レーザーの動き、送ったよ。いつも通り優雅にね、奈央姉。」

「優雅にって、これ本当にスリル満点だからね……。」奈央がぼやきながらも慎重に身体を動かす。


レーザーの網をすり抜け、奈央はケースの前に立った。静止した時計は、どこか異様な雰囲気を漂わせている。


「これが……父さんが遺した手がかり……。」奈央が呟く。

「その中に何が隠されているか、確かめるのは私たちの役目よ。」玲が低い声で答える。


奈央がケースを解除しようとした瞬間――ギャラリー全体に警報音が鳴り響いた。

「ピィィィィィィ――!」


「奈央、何をやったの!?」玲がイヤホン越しに声を荒げる。

「いや、何も触ってない!そもそも解除途中だし!」


「待って……。」美咲が急に声を潜めた。「監視カメラに……他の影が映ってる。私たち以外に侵入者がいる!」


奈央が振り返ると、廊下の奥に黒いフードを被った影が立っていた。


「玲姉、どうする?」奈央が緊張した声で問いかける。

「時計を確保して反対側から脱出して!」玲が冷静に指示を出す。

「了解!」奈央はケースのロックを解除し、「静寂の時計」を手に取る。


時計を手に、奈央は廊下を全力で駆け抜ける。だが、謎の侵入者が後を追ってきている。


「美咲、出口ルートを確保して!」

「待って、ちょっと混線してる!侵入者の動きが早すぎる!」美咲が焦った声を上げる。


「玲姉、この影……ただの泥棒じゃないかも。」奈央が息を切らしながら言う。

「わかってる。でも、まずは時計を持ち帰るのが最優先。」玲が低く言う。


追う者と追われる者――闇の中で影が交錯する。果たして彼女たちは無事に逃げ切れるのか――?


読者選択肢


1. 時計を優先して逃げ切る

•時計を安全に持ち帰ることで、時計の中に隠されたデータを調べることができる。ただし、別の侵入者の正体は不明のまま。


2. 侵入者の正体を探るため、あえて接触する

•危険を冒して侵入者に接触し、彼らの目的を確認する。場合によっては新たな情報や予想外の同盟が得られる可能性も。


読者への応援コメント記載依頼


記念すべき200作品目となるこの物語に、あなたの選択が命を吹き込みます!

シャドウ三姉妹の運命を決めるのはあなた――次の展開を選ぶ番号(1または2)を明日7時までにコメント欄に記載してください!

結果は明日16時の更新で発表。物語を一緒に紡ぎましょう!


読者へのメッセージ


いつも応援ありがとうございます!

本作は記念すべき200作品目であり、皆さんと一緒に物語を作れることを心から感謝しています。この作品では、あなたの選択が物語を動かし、三姉妹の未来を形作ります。


これからも一緒にこの物語を楽しんでいきましょう!次回の更新でお会いできるのを楽しみにしています!

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2024年12月15日 21:00 毎日 21:00

【200作品目 読者参加型小説 毎日16時更新】シャドウ・クエスト ~影に隠された真実を盗め~ 湊 マチ @minatomachi

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