第2話 トイレに入りたい!

お風呂に入りたくても入らせてもらえない臭い子の『シュウ』です。


王宮の個室トイレは一つしか存在しません。しかも、王族専用です。豪華な椅子に穴が開いていて、そこで用をたします。個人的には快適なのですが、ウオシュレットが無いのが現代日本人だった僕には物足りなさがあるのも事実です。


専属メイドのレイニーにトイレ事情について聞いてみようと声をかけた


「ねぇ、レイニーはトイレで、どうやって用を足してるの?」  


『バキッ!』


レイニーにグーパンで顔面を殴られた。ほっぺたを膨らませリスのように怒っている。


王族に手を上げるなんて普通なら不敬罪で即刻、処刑なのに…… でもまぁ、僕がセクハラまがいの行動だったので不問にしておこう。


まがいじゃなく本当にセクハラ行為だったけど……


話しは戻るけど王宮の中は正直、臭いし汚い。


消臭は、それなりにしてるけど…… 王宮の至る所に、藁にラベンダーなど匂いの強い花やハーブを混ぜて床に敷いている。無いよりはマシかなって程度だけど……


王族は良いとして、貴族、使用人のトイレ事情は最悪だ!


用足しはおまるか共同トイレでするのだが、共同トイレと言っても、隣りを仕切る壁もドアも無い、真ん中に穴が開いる複数の椅子が置いてある。椅子に座り用を足す。隣りの人と話しながら用を足すなんて…… キャッ! 僕、恥ずかしい!


しかも、おまると共同トイレが、貴族、使用人に対して圧倒的に数が足りない。


おまるが無い時、共同トイレが満室の時は、カーテンの裏、階段、草木の影など、人目のつかない所であれば、どこでも用を足す。


自然に王宮のいたる所で汚物の匂いで臭い! 臭くなった王宮はどうなるのか?


答えは、別の王宮へ引っ越しである。引っ越しが終わると特別使用人が汚物を掃除するのだ。


これを3~4ヶ月周期で繰り返す。


王族、貴族、使用人も大変だよね。一番大変なのは汚物を片付ける特別使用人なんだけどね。


特別使用人が集めた汚物は、とある場所に集められて肥料を作りをする。それを結構良い値段で農民に売って小遣いにしているらしい。


たくましい…


庶民のトイレ事情は、もっと酷いらしい!


「レイニー聞きたいことがあるんだけど?」


「答えられる範囲でならお答えしますがセクハラまがいのことであれば、お答えかねます。」


さっきの件、まだ根に持ってる…… こわい。ここは、謙虚に素直な気持ちで!  


所詮、僕の前世はザ・庶民だった訳でどうしても傲慢な素振りや王族らしい態度が苦手だ。


「庶民のトイレ事情について、何か知らないか?王宮内でこんなに汚物まみれなのに庶民はどうしてるんだと思ってね。」


「そうですね~ 何度が市民街へ買い物に行ったことがありましたが、歩道は汚物まみれで、住宅の二階の窓からおまるに入った汚物を歩道に捨てる光景は、何度か見ましたが… それがどうか致しましたか?」


「歩道を歩くときは、汚物を避ければ良いが、上から落ちてくる汚物は避けるのが難しいンじゃないのか?」


何かの罰ゲーム絡みの落ちゲーを想像していた。上下を見ながら歩く。下は汚物トラップ、上からは汚物が落ちてくる。なかなか超ハードモーの落ちゲーだ!


僕なら、速攻でゲームオーバーで詰みそう。


「そんなことはありませんよ」


「えっ!レイニーは忍者か何かなの?」


「忍者……? その忍者ってなんですか?」


レイニーは聞いたことのない言葉を聞いて不思議そうな顔をしている。


「ごめんっ! ごめん! なんでもないんだ! 気にしないで!」


両手を振り、慌てて言葉を誤魔化した。


前世の言葉がポロっと出るとは思わなかった。


「ゴホッン」


空気を換えるべき、咳ばらいを一つし、また、レイニーに尋ねた。


レイニー曰く、


歩道は、厚底で踵の高い靴を履き、上から爆撃される汚物は、日傘やマントで対処するそうだ。


僕以外のみんな…… なんか力強いな…… もう耐えられない……(泣)


市民街がそんな状態だと衛生的に良くない! 疫病でも発生したらたくさんの庶民に犠牲が出る。なんとかして対策を考えねば! 


王宮の図書館で文献など読もうとしたら、さすがスーパー7歳児、難しすぎて読めんかった。 ――無念


このままでは、よろしくないのでまた懲りずに、父上、兄上達、宰相、執事長、家庭教師に相談してみた結果。


『ジャッ、ジャーーン!』


怒られた。マジで怒られてしまった。


第二皇子のパリック兄上から


「お前は、もう余計なことをするな!自分の部屋から一生出てくンな! 目障りだ! 帰れ!」


またもや、話すら聞いてもらえなかった。(泣)


トイレに籠ってヒキニートになってやるっ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る