第12話「新たな道」
研究所を包む光の中で、すべての真実が明らかになった。
「人類進化促進装置」は、制御を失い崩壊を始めている。しかし、パイロットたちの意識は、より高次の理解へと達していた。
『見えているか、陽斗』
父・相馬剛の意識が、静かに語りかける。
「はい。量子共鳴は、決して誰かを強制するための力ではない」
陽斗の声が、仲間たちの意識とともに響く。
「気付いていたんですね」
レイが続ける。
「人類の進化は、互いの心が響き合うことから始まると」
グレイ副所長の野望は、若きパイロットたちの目覚めた意識の前に、もろくも崩れ去ろうとしていた。
「まだだ!」
彼は最後の切り札を発動させる。
「緊急起動、人工ヴォイド融合システム!」
施設の地下深くから、漆黒の触手が這い上がってくる。
「みんな!」
美咲の声が通信に乗る。
「あれは、強制的な量子共鳴を具現化したもの。でも、私たちには本物の共鳴がある!」
「準備はいい?」
凛が最後のデータを送信する。
「これが、私たちの答えよ」
閃機神と暗機神、そして上空の影が一つとなって光を放つ。それは、まるで夜明けのような輝き。
「父さん、僕たちは——」
『ああ、お前たちの選んだ道は、正しい』
光は次第に収束し、研究所の姿が現れる。爆発の危機は去り、静寂が戻ってきた。
「これで、終わり?」
美咲が尋ねる。
「いいえ」
陽斗は閃機神のコクピットで微笑む。
「これは、始まりです」
一週間後、研究所は国際管理下に置かれた。グレイ副所長は拘束され、真相究明が進められている。
「本部から、新たな指令です」
九条が報告する。
「世界各地で、新たな量子共鳴反応が確認されました」
レイが腕を組む。
「僕たちだけじゃない。仲間が、増えるということか」
「うん」
陽斗は遠くを見つめる。
「父さんの残してくれた可能性の種が、芽吹き始めたんだ」
新たな冒険の予感に、若きパイロットたちの心が高鳴る。
これは、終わりであり、そして新たな物語の始まりだった。
『機神共鳴』 ソコニ @mi33x
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