第2話:絶対秘密主義
いきなりハゲ上司から辞令を渡され海外事務所撤退の担当とされた。
私は今の会社に海外出張を可能と言う条件で転職をした。
故に、解雇されない為に従順な社畜になるしかない。
家のローンも養う家族もいる。
お父さんは大変なのだ。
「あの、撤退を決めたのは分かるんですが、具体的にどうしたらいいんですか?」
「そこが分からないので君に調べてもらいながら駐在事務所の所長と協議してくれ」
いきなり丸投げしてきやがったよこのハゲ上司。
しかも上部役員連中も言えばやれる的な風潮。
こういうのはどの会社行っても変わらないもんだ。
私は失敗した時の責任問題で解雇される覚悟で取り組む羽目になってしまった。
故にかなり真剣である。
すぐに現地所長に連絡を取る。
すると……
『その話は聞いたんだがまいったよ。調べていくうちにどうやら中央政府の規定以外に地方政府の規定があって一筋縄ではいかないらしい。経費節減で日本語の分かる現地の弁護士雇うにも厳しいんだよ』
「いや、それって無茶苦茶ハードル高くないですか?」
『ジェトロ(日本貿易振興機構)に相談したらさ、アドバイスとして事務所閉鎖ひと月前まで絶対に現地スタッフには秘密にした方が良いって言われたよ。下手に情報が流れると労働仲裁所に駆け込まれて裁判にでもなったら僕が拘束される場合もあるらしい。出国も問題解決するまで出来なくなり、領事館にも逃げ込むのが難しくなるそうだよ。まいったなぁ……』
いやそれって、最近報道でもあった日本人出国時の拘束問題まんまじゃん……
そんな中で担当に回された私も下手に中国行ったら一緒に捕まるんじゃないか??
『この件は細心の注意を払って動かないとね。僕からもそっちの上司たちに注意勧告しておくけど、さいとう君も要注意で動いてくれ』
「マジっすか? 分かりました。とにかく内密に事を運ばなきゃですね」
『そういう事。じゃぁ僕はジェトロさんに更にいろいろ相談してみるよ』
「は、はい……」
いきなりハードル高っ!
こんなんでちゃんと撤退できるのか!?
こうして私の任務が始まるのであった。
<次回:「まずは外堀を埋めるのが鉄則」サラリーマンの修羅場が見るれぜ!>
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