30歳の誕生日に錬金術のスキルを身につけた主人公。
ただし、錬金術を行うには全裸で童貞であることが必須。

しかし、この錬金術の活用について京大卒の弁護士に相談します。
この京大卒の女性弁護士は、頭が良くてぶっとんでいる。ぶっとんでいるという表現はやっぱり東大ではなく京大である方がしっくりきます。
そのような（？）、現実世界を持ち込んだファンタジー。ある野望のため、この錬金術でいろいろなものを倍増する計画を考えていくのですが科学的、法律的に問題をクリアするのがなかなか大変……さて、野望は達成できるのか？それから、この弁護士と主人公の恋は始まって錬金術を失ってしまうのか？読んで確かめましょう。

AI挿絵多数という点が、私のように文書読むのが苦手な人には優しい設計。もちろん、文書読むのが得意な人にとっても理解とイメージの補完になります。
【第９話まで読了時点】

誕生日の深夜。
30歳になった岡崎康生の脳内に、唐突な「声」が響く。

『錬金術「倍増」を獲得しました』

右手に触れた物を素材に、左手の物を2倍にする。
ただし、発動条件は「童貞かつ全裸」。
翌日、言われるがままに全裸で試した結果、カードは2枚になった。夢ではない。

トレカ、合成宝石、紙幣。
コピーされたのは物質だけじゃなかった。
経理部の彼は、法務部の元エリート弁護士・菅生葵にすべてを打ち明ける。
同じ番号の「2枚の新千円札」とともに。

その日から、全裸錬金術と法的思考で現実に挑む、
ちょっとズレたラブ＆異能の日常が始まった。

ある日突然錬金術の能力に目覚めた主人公。
その能力は対象の数を二倍に増やせるものだった。
ただし能力を使うには全裸にならなければいけない。

これだけだと単なるギャグ無双に思えるでしょうが、本作はそんなタイトルやあらすじからは想像もつかないほど何もかもが本気です。
料理についても経済についても製造についても科学についても恋愛についても…。

「そういえばこれやってる時全裸なんだった」という事実さえ思わず忘れてしまう程に。

読み始めはコメディだと思っていた自分は馬鹿でした。しっかりとした物語構成にシリアス展開は胸熱です。裸の錬金術師が最後には最高にかっこよかったです。

最初に言っておきたい。
タイトルからしてふざけてるし、「全裸じゃないと発動しない錬金術」なんて設定、読む前はギャグ一直線の話かと思った。

……が、まさかここまでマジメだとは。

物理や法律の知識がやたら本格的で、錬金術による「モノの倍増」で一攫千金を狙う展開も、最終的には「税務署に目をつけられないように」と、地に足の着いたリアル志向。
増やす対象の品目や売買ルートの選定まできっちり吟味する姿に、「いや、これファンタジーだよね？」とツッコミつつも、思わず納得してしまう。

ふざけた皮をかぶった、本気の社会派異能モノ。 こういうギャップ、大好きです。